松屋は、銀座本店の名物催事「『銀座の男』市」を富山県で開く。北陸を地盤とする百貨店の大和(だいわ)の富山店で4月1日から4日まで実施する。百貨店が他の百貨店に出張して催事を行うのは異例で、企画力を生かした新しい試みとなる。
「『銀座の男』市」の1970年に松屋銀座本店で始まった紳士服催事。値ごろな価格のビジネススーツを売り出す紳士服催事は各百貨店が行っているが、「『銀座の男』市」は欧州の一流テキスタイルメーカーや国内のテーラー職人と協業したユニークな企画によってリピーターが多いことで知られている。
大和富山店の開催では6階ホール(660平方メートル)に約2500着のスーツをそろえるほか、パターンオーダーも受け付ける。松屋からバイヤーら4人が現地におもむき、接客にあたる。4日間で売上高1000万円を計画する。採寸データが取れたオーダー客に対しては、会期終了後もオンライン接客を通じて顧客化できるよう仕組みを整える。
百貨店にとって催事は有力な集客手段。外部企業が企画・運営する催事であれば、百貨店を横断して全国を巡回することはある。だが百貨店が企画・運営する催事がグループ以外の店舗で開催されることは異例だ。松屋は得意とする文化催事を大和で開催したこともあるが、物販催事での連携は初めてとなる。手応えが得られれば、全国で出張催事の機会を増やす。