メタバースが、いま熱い。投資マネーの流入やNFTアイテムの高額落札などに加え、相次いで有力なブランドが参入し、大手スポーツブランドのナイキがNFT専業ブランドを買収するなど、ファッション産業も世界で盛り上がりつつある。2024年には市場規模が92兆円に達するという調査もある。しかし、一体メタバースとは何なのか。バーチャルショップとの違いは?5つのポイントからメタバースとファッションの現状と今後を探った。
24年にメタバース市場は90兆円、NFT市場9兆円
メタバースとは、広い意味ではインターネット上の仮想空間領域を指す。言葉に従えば、ゲームから専用のバーチャルリアリティー(VR)プラットフォーム、3Dを使ったアプリ、さらには3Dで作ったバーチャルストアまで入る。ただ、あえて限定するなら、3Dで構築され、アバターを必要とするネットの仮想空間と言える。メタバースに参入するアパレル企業やラグジュアリーブランド、小売りは増えている。「バレンシアガ」は人気オンラインゲーム「フォートナイト」と協業し、実際のコレクションに基づいてデザインしたアバター用のウエアやスキンを制作したほか、コラボアイテムをリアルでも販売。「ラルフ ローレン」は、ゲーミングプラットフォーム「ロブロックス」にスキー場を舞台としたバーチャルショップを作り、同ゲームのアバター専用のウィンターコレクションを発表した。
メタバースは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)テクノロジーの発展、ブロックチェーン技術による仮想通貨や暗号資産の台頭、そして通信回線の発達などによってここ数年で急激に現実のものとなってきた。ブルームバーグ インテリジェンスの調査によれば、メタバース市場は2024年にはおよそ8000億ドル(約92兆円)規模となることが予想されている。
では、メタバースとNFTはどういった関係にあるのか。NFTとは“Non-Fungible Token”の略で、非代替性トークンと訳される。文字通り、代替や交換されることのないデータのことで、資産のデジタル鑑定書と所有証明書としての役割を持つ。ブロックチェーン上で発行・流通されるのでコピーやハッキングが不可能で、それがNFTの価値をより高めている。NFTは急速に市場を拡大している。米国の投資会社ジェフリーズは21年にわずか70億ドル(約8050億円)に過ぎなかったNFT市場が、22年には350億ドル(約4兆円)、25年には800億ドル(約9兆2000億円)に達すると予測する。NFTを販売しているブランドも続々と増えており、 「グッチ」「カール・ラガーフェルド」「アディダス オリジナルス」「ギャップ」「リモワ」「アンブッシュ」「アンリアレイジ」など多数に上る。加えて、注目は、ブロックチェーンやNFTを知悉した専業ブランドだ。ナイキが買収したRTFKT(アーティファクト)やアディダスとコラボレーションした「ボアード エイプ ヨット クラブ」はすでにNFTのプラットフォーム上で数百億円もの取引が行われている。
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