毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年4月11日号からの抜粋です)
美濃島:コロナ禍に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻もあり、不安なムードの中での東京ファッション・ウイークでしたが、そんな現状を打破したいという想いが伝わる、前向きなシーズンでした。
大杉:そうですね。私は今回、「リアルに勝るものナシ」というのを強く感じました。コロナ禍でデジタル発表の幅は広がりましたが、やはりその場にいることで伝わってくることがたくさんあって、人が集うから注目も集まり、ハプニングやコミュニケーションも生まれます。パリコレにもオンラインで参加できるようになりましたが、現地で取材する人にしてみたら、オンラインの映像発表はどうしても二の次になってしまうんじゃないかなと思いました。リアルとデジタルでは、情報量や刺激が圧倒的に違うと改めて感じました。
美濃島:54ブランドのうち30ブランドがリアルショーで、今回は「ダイリク(DAIRIKU)」や「シュガーヒル(SUGARHILL)」など、初ショーのブランドもいくつかありましたね。ショーは若いブランドが、人々の関心を集め、育つための装置でもありますよね。いろんな人を巻き込み、密なコミュニケーションが必要だからこそ、考え方や視野が広がるし、ブランドについて深く思考する機会にもなります。
大杉:リアルといえば今回、スナップも久々に復活しましたよね。こういう周辺で起こっていることを伝えられるのもリアルの醍醐味かもしれないですね。
美濃島:そうですね。僕は、東コレが開催されているということを、できるだけ多くの人に知ってもらいたいと考えていて。特に最近は海外への渡航が厳しい分、“東京”が色濃くなっていてまさに面白くなってきているので、より幅広い層に向けてタッチポイントを増やしたいんです。もちろん、スナップは東京スタイルの“今”を反映する意味でも重要ですが、「あ、今東コレ開催しているんだ」と気付いてくれる人がいることも期待しています。
大杉:デジタルで何でも見られ、誰でも発信できるようになったからこそ、私たちメディアは正しい情報をきちんと報じることが大事。現場にいるからこその臨場感やデザイナーの生の声も伝えていきたいですね。