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「アンブッシュ」がNFTとメタバースの同時実装で目指す先とは? VERBALに直撃

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アンブッシュ(AMBUSH)」は2月にNFTプロジェクトを開始し、3月に “アンブッシュ シルバーファクトリー”という独自メタバースも期間限定公開した。アーティストで、クリエイターで、ビジネスマン。国際的に活躍するVERBALに同プロジェクトの狙いや成果を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2022年6月6日号メタバース特集からの先行公開です)

WWD:“アンブッシュ シルバーファクトリー”立ち上げの経緯は?

VERBAL:もともと VR(仮想空間)が好きで、アーティスト活動をする中で、2012年からモーションキャプチャースーツを使用したコンテンツ制作を始め、ステージにプロジェクションマッピングなども取り入れたりしていた。モーションキャプチャースーツがバーチャル空間のアバターの動きに転用できることに気付き、それらを駆使したイベント制作やレンタル事業もしていたことがある。コロナ禍でライブができなくなったときには「バーチャルマーケット」にも参加し、音楽イベントも開催した。テクノロジーを活用して面白い表現や、今までできなかったようなことに挑戦するのが大好きで、今はNFTとメタバースにハマっている。メタバースでは、アバターのファッションを楽しんだり、アバターに着させるということ以前に、火の玉でも何にでもなれるのが面白いところ。メタバースでの体験を通してファッションの概念を変え、クリエイティブの幅を広げられたらと考えている。“シルバーファクトリー”を、コミュニティーを強化するためのコミュニケーションの一つにしていきたくて、模索している最中だ。

WWD:アーティスト、そしてビジネスマンとしてVRにチャンレンジしてきた一方で、今回のプロジェクトは「アンブッシュ」としての活動だ。NFTの魅力は?

VERBAL:もっとアートに集中したい、音楽に集中したい、そういう人たちが収益性も確保できるツールがNFTだと思った。NFTを販売することで、好きでやっていることを、なりわいにできる可能性があるというのは、魅力的だなと。そして、それをメタバースで表現したらさらに面白いと考えた。NFTを持っていることで、ある部屋に入れたり、AからB地点に行けたりしながら、ゲーム感覚で次のNFTを取得するようなことができるのも魅力。それで今、NFTとメタバースを同時に実装している。

WWD:さまざまなプラットフォームがある中で、なぜ自社でメタバースを?

VERVAL:ディセントラランドに出ようか、ザ・サンドボックスに出ようかなどと悩んでいたが、結局土地(LAND)も安くない。上に何か建てることを考えて、ブランドのトンマナに合う、合わないを話し合っていたら、「どうせお金をかけるなら、まずは自社で作ったほうがいいね」という結論に達した。直営店同様、「これぞ『アンブッシュ』」を見せられるものにしていきたい。ただ、用もないのにZepp Tokyoには行かないもの。訪れたときに「誰もいない……」というのは避けたいこともあり、“シルバーファクトリー”はイベントのときにだけ公開している。

WWD:制作パートナーは?

VERBAL:ロサンゼルスにあるアクティブセオリーというクリエイティブエージェンシーと一緒に作っている。Web3対応ではなかったが、そこも盛り込んでもらい、ウォレットをつないでいる人たちにスキンの色の選択肢を増やしたり、NFTを購入できるといった、ビジターにはない機能を付けたりした。最初にNFTを作るにあたっては、幸いにも好きな人たちが集まって、「収益を得たら配当します」みたいな感じで始められ、発売したらすぐに売り切れた。みんなでハッピーになれ、その収益でコミュニティーに向けて、面白いフィジカルイベントもできるという、すごく健全なやり方ができた。知っている人たちとオーガニックに始められたというのが一番のポイントだったと思う。

WWD:オーガニックに始めて、サステナブルだ。

VERBAL:「アンブッシュ」を始めたのも、ジュエリーが好きで何となく作って、それを友達にあげていたら卸先から声が掛かったという、ひょんなきっかけからだった。「POW!」リングを通じて、例えばイェ(カニエ・ウェスト)とファッションの話になったり、ル バロンで国内のいろんなDJにあげたりしていたら、みんな着けてくれて盛り上がったりとか。そういうオーガニックな感じをもう一度、この新しいテクノロジーを通して展開してみたい、新しいコミュニティーを作りたいという気持ちがあって。だから原点の象徴である「POW!」リングをNFT第1弾にしてスタートした。

WWD:今後の計画は?

VERBAL:NFTホルダーにさまざまなイベントなどを用意したい。コーチェラ期間中に並行開催されていた88risingのプライベートパーティーを“シルバーファクトリー”の中だけで配信して、ホルダー限定で楽しんでもらったり、スターバックス リザーブ ロースタリー東京とのコラボレーション披露のカクテルパーティーに特別に入れる企画も実施したりした。秋には「アンブッシュ」のリングを持っている人たちのイメージを表現したキャラクターPFP(プロフィール画像)をエアドロップする計画だ。もちろん、ホルダーでなくても買えるようにする。そのPFPが、これからアバターとして生きてくるというところまでをロードマップとして公表した。結構カロリーが高いかもしれないが(苦笑)、とてもワクワクしている。

 6月6日発行の「WWDJAPAN」(ウイークリー版)では、「メタバース特集」と題し業界の先駆者たちにフォーカスする。

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