「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事はWWDジャパン2022年6月27日号からの抜粋です)
発売から3年目となるスキンケア製品の説明会が改めて開かれた。プレスを招いての既存品説明会は非常に珍しく、何か特別な事情がない限り開かれない。言うまでもなく、開催しても反響は得られないと考えるのが普通だから。ただ、冷静に考えると、新製品にしか興味が湧かないことも、また言葉は悪いが、新製品を出す側が“出しっぱなし”であることも含め、今のコスメ界のコミュニケーションのやり方は、考えてみるとちょっと偏り過ぎているのではないかという気もしてくる。
一説に、店頭でも新製品しか売れず、その新製品も発売1カ月、いや2週間で勢いが急速に低下してしまうケースもあるほど、売り上げはデビューの時の瞬発力に頼るしかないともいわれる。こうした“新製品至上主義”が決定的なものとなったのも、「ベスコス」が業界の年中行事になったことともちろん無関係ではない。確かに、あらゆるジャンルにおいて進化が目覚ましい時代、新作にしか目がいかなくて当然。しかし、実際デビューしてみて、その製品は本当に効いたのか?どう評価されたのか?そうした実績や推移を基に、改めてその製品の魅力や可能性を見つめながら、数年後に検証するのはある意味とても理にかなったことなのではないか。もちろんアットコスメなどの口コミサイトは十分にその役割を果たしてくれているけれど、しっかりとプロの目で分析し、プロの判断で改めて紹介するべきかどうかを精査することまでは、なされてきていない。どんな製品がヒットし、どんな製品がロングセラーとして生き残っていくのかを知る上でも、効き目を競うコスメにおいて“発売後検証”はとりわけ大切なプロセスであるはずだ。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。