中村ヒロキがデザインする「ビズビム(VISVIM)」が、東京・中目黒に新店「ビズビム ジェネラル ストア(VISVIM GENERAL STORE)」(売り場面積約89平方メートル)と「ビズビム ギャラリー(VISVIM GALLERY)」(約45平方メートル)をオープンした。木造住宅を生かした建物に、小川が流れる坪庭。内装デザインは中村が手掛けており、ネイティブアメリカンのラグやチベットの織物、日本の型染め和紙のふすまなど、ビンテージを中心に世界中のさまざまな名品をミックスして店内に配している。それら全てが落ち着いて調和しているのがこのブランドらしいところ。人通りの多い中目黒にいることを忘れてしまうような、ファンも一見さんも楽しめる空間になっている。
店があるのは、2019年末に目黒川沿いにオープンしたウィメンズ「ダブリュー エム ブイ(WMV)」のショップ、「ダブリュー エム ブイ ビズビム トウキョウ(WMV VISVIM TOKYO)」(約124平方メートル)の裏手。今回オープンした2棟と合わせ、計3棟の建物で「ビズビム」の全ラインの商品を扱うと共に、「ビズビム ジェネラル ストア」にはオリジナルブレンドのコーヒーを提供するカフェ「リトル クラウド コーヒー(little cloud coffee)」のスペースもある。
「ビズビム ギャラリー」ではさまざまな展示やイベントも行っていく予定で、第1弾として7月23〜29日に、「ビズビム」が手掛ける雑誌「サブシークエンス(Subsequence)」の第5号と連動した展示も実施。中国の伝統的な藍染布“藍印花布(らんいんかふ)”のビンテージ品などを展示・販売した。
不均一なもの、非対称なものが美しい
3棟は坪庭の脇を抜けるような形で行き来ができる作り。庭を手掛けたのは日本庭園の世界ではよく知られている作庭家、安諸定男で、新店オープン後もこの庭見たさに訪れる日本庭園ファンがいるのだという。ロサンゼルスと東京の2拠点で暮らす中村が、東京で住んでいる家の庭を手掛けていたのが安諸だったといい、「(庭が)すごく自然にデザインされていて、これを手掛けた人とはモノ作りのプロセスや考え方の部分で共感できると思った」と中村は話す。
よく知られているように、中村はネイティブアメリカン由来のアイテムをはじめ、世界中のさまざまな場所や人々の暮らしに根付いたビンテージに造詣が深い。「(例えば)新店の壁は本漆喰で仕上げているが、職人が手で仕上げているから直線ではなく少しカーブしている。真っ直ぐなものよりも、不均一なもの、非対称なものに美を見出すという価値観に共感するし、そうした自然に近い感覚は(ネイティブアメリカンなどとも)共通する」と話す。