2023年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」が29日に開幕した。オープニングを飾ったのは舟山瑛美による「フェティコ(FETICO)」。女性の体の美しさや、強さを引き出すフェティッシュなスタイルを確立し、業界でも注目を集めている気鋭ブランドだ。日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)の新たな支援プログラム「JFW ネクスト ブランド アワード(JFW NEXT BRAND AWARD)」の初年度受賞ブランドとして、メイン会場である渋谷ヒカリエで、ブランド初となるランウエイショーを開催。ブランドが得意とするボディーコンシャスの要素を詰め込んだコレクションを見せ、強いインパクトを残した。
自己肯定感を高めて
肌見せを楽しむファッション
今季「フェティコ」が着想源として選んだのは、1970年代に作家や女優、モデルとして活動した鈴木いづみ。小説家としてだけでなく、写真家・荒木経惟との協業でヌードモデルも務めたことでも知られている。ブランドは彼女の写真から女性の体の曲線美や、自信を持って肌を見せるという自己愛を表現。スリップドレスやメッシュドレス、背中が深くV字に開いたジャケットなど、体のラインをあらわにしたディテールが目を引く。舟山デザイナーは「体のラインを美しく見せ、きれいに演出することにフォーカスした。女性という存在がとても好きで、全力で肯定したいという気持ちが強くある。美しくあろうとする人は、みな美しい。もっと自信を持って肌を見せるファッションを楽しんでほしい」と言う。
また鈴木いづみが活躍した70年代のファッションの要素も抽出。ブルーデニムのクロップトップとフレアスカートのほか、ペイズリーのジャカードのトップス、幾何学柄の編み地がユニークなボディースーツには、ピンクやネオングリーンなどを差し色に取り入れる。開放的な雰囲気がありながらも、少し湿っぽいダークなイメージを融合しているのが印象的だ。
会場は、斜めにとった長いランウエイの中央に街頭のようなライトが並び、ロマンチックな印象だ。舟山が目指したのは、王道のファッションショー。服の主張が強い一方で、ヘアとメイクは、ベースメイクのみのナチュラルな仕上がり。シンプルで潔くても、モデルのそれぞれの個性を引き立てた。
アワードの初回を受賞
スターデザイナー誕生の瞬間
ショー後には会場で「JFW ネクスト ブランド アワード」の授賞式が開催された。同アワードは、デザイン性や将来性、市場性、完成度など観点から、今後ファッション業界でグローバルに活躍が見込める新しい才能を育成・支援するもの。舟山デザイナーはJFWOの古茂田博・事務局長から表彰盾を受け取り、また賞金として100万円を獲得した。スピーチでは、「いつか自分のブランドを持って、ショーをやることを目標にしてきたのでようやく夢が叶って感無量。支えてくれている人々にこういう形で一つ恩返しできてうれしい」とコメント。今後については「ブランドの認知度を上げて、国内に留まらず、『こういう服を着てみたい』という多くの人に届けられるように、活動を広げていきたい」と展望を語った。