2023年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」(以下、東コレ)が8月29日に開幕した。9月3日までの6日間、国内外のバイヤーやジャーナリストに向けて、全49ブランドがリアルショーやオンライン形式でコレクションを披露する。
「WWDJAPAN」は今シーズンも、総力をあげて東コレを取材。ここでは、取材班が“イケてる!面白い“と思ったブランドを毎日リポートする。4日目は「ベイシックス」「ヨウヘイ オオノ」「リコール」をお届け。
東コレ取材2シーズン目
ソーシャルエディター佐立
「ベイシックス(BASICKS)」1 / 1
見どころ:2020年1月に休止した「クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)」デザイナーの森川マサノリが、21年3月に立ち上げた「ベイシックス(BASICKS)」。ブランド初のショーを、新木場の国際輸送物流会社DHLのディストリビューションセンターで開催しました。“消費“がテーマのコレクションを、ファッション業界になくてはならない物流施設で発表するというメッセージ性たっぷりな演出。アイテムはリサイクル素材に加え、ユーズドの「リーバイス」、倉庫に眠るミリタリーウエアなどのアップサイクルが続々登場します。最後のピースは、廃棄されるDHLのユニホームをドレスに仕立てたもの。サステナビリティを推し進めるDHLと同ブランドの、意外だけど納得なコラボレーションです。フットボールブランド「アンブロ(UMBRO)」とのコラボアイテムも印象的でした。「ショーをあまりするようなブランドではないが、“消費“への問題提起の場という意味合いもあった」と森川デザイナーはコメント。今年は新ブランド立ち上げも計画しているようで、目が離せなそうです。
東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」1 / 1
見どころ:「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」が突き抜けたいいコレクションを見せてくれました。ショーは約5年ぶり。それまでの間は展示会とルックブックでの発表で、ショー映えするようなクリエイションを封印(ルック用のユニークなピースはありましたが)。”売れる服”に注力し、卸先も順調に拡大させてきました。しかし、独自の世界観がしっかりある「ヨウヘイ オオノ」は、派手なショーが合うブランド。今日はそれを再確認できました。会場は恐竜の骨格標本が並ぶ、東京国立科学博物館の展示室。時空を超えたディテールを組み合わせた今回のコレクションにぴったりな空間でした。ショーでは、ウエストバッグで19世紀後半のバッスルスタイルを表現したり、シースルージャケットにアーマー風のディテールを施したりと、西洋服装史の要素をモダンにアレンジ。またツノが付いたトップスなど、ウィットを効かせたアイテムもありましたが、ビスチェのようにコーディネートされ、エレガントな着こなしです。さらにスパンコールのような光沢感のある素材感使いが、フューチャリスティックな雰囲気をプラス。過去現在未来の要素をごちゃ混ぜにした、大野デザイナーの創作を楽しめます。ナイトミュージアムでタイムトラベルするような、ワクワク感が味わえたショーでした。
東コレ取材5シーズン目
編集部 美濃島
「リコール(REQUAL≡)」1 / 1
見どころ:東コレ常連の「リコール」は、ブランドの原点である“ドッキング”に回帰。ラグタグと協業し、同社の倉庫からジャケットやポロシャツ、Tシャツなどの廃棄品を調達して、解体・再構築しました。前後に前見頃を組み合わせたり、袖や襟ぐりを無数に付けたりと、ユニークな発想は健在。チュールやフリルも積極的に使っていたため、上品に映りました。赤や緑、オレンジといったカラーパレットも快活で、見ていて気持ちいいコレクションでした。カラーパレットは、土居哲也デザイナーの祖母が描いた絵画に着想したそう。囲み取材では実際に絵を見せてくれて、パーソナリティーを感じるクリエイションにグッときました。