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資生堂「エリクシール」がブランド戦略を刷新 化粧水と乳液をリニューアルし過去最大級の投資を実施

 資生堂は9月21日、エイジングスキンケアブランド「エリクシール(ELIXIR)」のブランド戦略を見直す。第1弾として主力シリーズの“エリクシール シュペリエル”をリニューアル。4年ぶりに化粧水と乳液を刷新する。それぞれ使用感を分けた3タイプを用意し、詰替え用やトライアルセットなど全15品をラインアップ。価格は据え置く(税込550〜3850円※編集部調べ)。ブランド全体の9月以降の売り上げ目標として、前年比2ケタ増を目指す。なお、海外展開は2023年以降を予定する。

 「エリクシール」は1983年の誕生以来、コラーゲン研究に着目しながら、肌のエイジングと向き合い進化を遂げてきた。2016年のリブランディング以降、ターゲット層を3つに分け、20代後半からは“エリクシール ルフレ”、35〜44歳は“エリクシール シュペリエル”と“エリクシール ホワイト”、45歳以上は“エリクシール アドバンスド”とシリーズ展開する。しかし、売り上げ構成比の高い“エリクシール シュペリエル”と“エリクシール ホワイト”は、利用者の半数以上が45歳以上だったことが判明。そこで、世代別戦略とプロダクト戦略の2軸を見直す。冨田千晶 資生堂 グローバルプレミアムブランド本部 本部長は、「生活者の行動心理の変化とわれわれの売り上げの状況を鑑みて、従来の戦略から転換が必要だと判断した」と話す。

 世代別戦略では、35歳以上をターゲットにしていた“エリクシール シュペリエル”と45歳以上をターゲットにしていた“エリクシール アドバンスド”を統合し、35歳以上からは新「エリクシール」を提案する。なお、“エリクシール ルフレ”はデジタルマーケティングで引き続き育成し、“エリクシール アドバンスド”は「使用感が異なり、愛用されているお客さまも多いので継続する」。

 特に45歳以上の生活者に向けたマーケティング投資とプロモーション活動に集中する。「過去最大級の投資を実施する」と、テレビCMの投入を大幅に増やし、雑誌やデジタルほか、店頭BC(美容部員)による活動も強化し、リピート率の向上を図る。「コロナ禍でタッチポイントを調査したところ、家にいることが多い世代でもある45歳以上は、テレビCMから情報を得たり、新聞の折り込みチラシによるコンバージョン率が高いことがわかった。ウェブやSNSは全世代が触れていることから、50代の女性からの支持も高い美容家やモデルといったインフルエンサーによる発信も増やし、全方位で話題化を見据えた戦略を打つ」。ミューズは引き続き女優の石田ゆり子を起用し、45歳以上へのアプローチに注力する。また、35〜44歳のゾーンを取りこぼさないように、女優の長澤まさみも引き続きミューズとして迎える。

 プロダクト戦略においては、9月21日に発売する化粧水と乳液を筆頭に、日中用乳液、リンクルクリームなど、「売り上げ構成比が高く、長期的に愛用いただける製品に投資を集中させる。生活者に選ばれるヒーロープロダクトとして育成し、新客の獲得を強化する」と意気込み、前年比1.4倍の新規客獲得を目指す。

 国内では現在、ドラッグストアやGMS、化粧品専門など約2万店と資生堂の公式ECで取り扱う。海外事業においては、中国や台湾、トラベルリテールほか、今年からベトナム、シンガポール、タイで展開を始め、日本発のグローバルブランドと位置付けている。誕生当時から、年齢関係なく一人一人の美しさを最大限引き出すべく、時代とともに変化する女性の価値観やライフスタイルに合わせて進化してきた。日本市場では、15年連続で売り上げ金額No.1(インテージSRI、SRI+基礎化粧品(スキンケア)市場メインシリーズランキング2007年1月~2021年12月推計販売金額)を堅持する。

 今回刷新する化粧水と乳液は、肌が本来持つハリ保湿機能であるコラーゲンの代謝正常化と免疫細胞マクロファージのバランスの研究に着手。新成分として、独自研究に基づいたM-バウンサーCPとディープモイストインCPを配合し、約3年の開発期間をかけて完成させた。50年以上にわたる角層研究の集大成による知見を搭載した浸透処方を採用し、ハリと潤いに満ちた“つや玉”が続く肌へと導く。

 また、環境への配慮も強化する。新製品においてはリサイクル樹脂(リサイクルPET72%以上)を使用したボトル容器を採用するなど、環境負荷の低減に向けた取り組みを加速する。これまで日本では2012年から化粧水と乳液の詰め替え用パッケージを開始。化粧水においては、本体ボトルと比較してプラスチック使用量を約85%削減できる。2021年の日本市場全体における化粧水と乳液の詰め替え用の普及率は23%(インテージSLI.調べ)に対し、「エリクシール」は58%(21年1〜12月出荷売り上げ数量)と大きく上回るが、21年から詰め替え用を展開している中国と台湾では「中国は詰め替え用の売り上げ構成比が約5%、台湾は同3.6%と、詰め替えるという意識がまだまだ低い」という。今後、日本のみならず、アジアの国・地域全体で化粧品の詰め替え習慣への認知と理解を高めながら、25年末までに同ブランドの主力製品全ての詰め替え(付け替え)対応を目指す。

 製品は、6月に本格稼働した新製造拠点、福岡久留米工場で生産する。「アジアのお客さまにも届けられる体制を整えている。これらの新しい戦略を実行し、日本でナンバーワンのチームを盤石化させる。さらに、アジアでのシェアを拡大するとともに、持続可能なモノづくりに貢献することで、日本発のアジアで代表的なエイジングケアブランドになることを目指す」。

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