ファッション

「無印良品」、衣料品改革で機能性インナーをリニューアル 綿本来の吸湿発熱性に着目

 良品計画の「無印良品」は今秋、衣料品改革の一環としてインナーウエアの刷新を進めている。インナーの中でも秋冬の売り上げに占める割合の大きい機能性インナーでは、綿が本来持つ吸湿発熱性に着目し、“あったか綿”“あったか綿 厚手”“あったか綿 ウール”の3シリーズを開発。“あったか綿”シリーズは既に発売しており、残り2シリーズも10月11日に発売する(一部店舗やECでは先行販売中)。3年以内に、発熱性機能インナーの売り上げを5倍に引き上げる。

 発熱性機能インナーはポリエステルなどの合繊素材が市場で主流となっているが、人によっては皮脂を吸着して肌が乾燥しやすくなったり、静電気が起きたりといった傾向もある。「天然繊維より合繊の方が機能的に上だというのは先入観ではないのか」(山口洋平 衣服雑貨部インナー雑貨担当MD部長)という考えから、綿に着目。「通常の綿よりも汗や湿気と結合する分子を増やす特殊な技術」によって、吸湿発熱性を高めた。

 昨年までは類似する商品として“綿であったか”インナーを販売していたが、「厚手で重ね着がしづらい」「滑りが悪い」等の声が寄せられていた。そこで“あったか綿”シリーズは、綿と木材を原料とするレーヨンの混紡にして薄手で滑りをよくし、ウィメンズ8型、メンズ4型(各税込990円)を企画。“あったか綿 厚手”(ウィメンズ4型、メンズ3型、各1490円)は綿100%で、アウターTシャツとしても着られる仕様にした。最も気温の低い中での着用を想定した綿・ウール混紡の“あったか綿 ウール”は、ウィメンズ3型、メンズ3型(各1990円)をそろえる。

 「合繊素材やそれを使ったインナーは過剰なスペック競争になっているが、(既に多くがある程度のスペックに達しているため)数字を追い求めること自体にはあまり意味がない。“あったか綿”シリーズは吸湿発熱性や保温性で競合商品のスペックに負けてはいないが、同じ土俵で勝負するのではなく、『肌に触れるものはやはり綿が気持ちいい』という価値を伝える」と山口MD部長。

 インナーウエアでは発熱性機能インナーのほかに、ショーツ&ボクサーブリーフ、ブラジャーやカップつきキャミソールなどの商品群も戦略的重点商品に据え、今秋冬物で素材刷新などを行っている。また、包装の簡略化も進め、今秋からインナー類の全商品でプラスチックケースを廃して紙製ハンガーによる陳列に切り替えた。紙製ハンガーやフックは、10月11日に「無印良品」全店舗で回収を開始し、再度紙製ハンガーなどに加工し使用する。

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