毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年10月10日号からの抜粋です)
藪野:2023年春夏シーズンのパリコレは、日本人デザイナーによる12ブランドがリアル発表を再開。「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」は創造性が光っていましたし、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は今回もほかにはない見せ方でした。2年半パリに来られない期間を経て、それぞれの独創性を際立たせていて、日本勢のパワーを感じられたのがうれしかったです。
大杉:三宅一生さんが亡き後初の「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」のショーはとてもエモーショナルでしたし、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」も東京でショーを行っていましたが、パリの会場では世界観の表現がより濃厚でした。「アンダーカバー(UNDERCOVER)」も約3年ぶりでしたが、パリに集まった関係者たちも、戻ってくるのを待ち焦がれていた様子でした。
藪野:デザイナーにとって、パリでこれまで取り組んできたチームと直に会ってショーを作り上げ、世界中の人に見てもらえるというのは違うようですね。僕自身も改めてファッション・ウイークはコミュニケーションの場だと思いました。ブランドと観客のコミュニケーションだけでなく、ショーに取り組む過程や、観客同士でのコミュニケーションも起こります。日本からバイヤーやエディターの来場も復活して、ビジネスの場としての活気も戻ってきました。リアルな現場はやっぱりいいなと思いましたね。
大杉:ミラノもとても刺激的でした。スケジュールが約4日間に集中していて、1日10本以上のショーやプレゼンテーションを周り、バタバタしましたがその分インプットもたくさんありました。「グッチ(GUCCI)」のショーでその奥深さに感涙した直後、「プラダ(PRADA)」の展示会へ行き、間近で商品に触れて驚くなど、行く先々で強く感情を揺さぶられました。
藪野:ミラノは「エトロ(ETRO)」や「ミッソーニ(MISSONI)」など4ブランドが新デザイナーになって初のショーで、見どころが満載。特に「フェラガモ(FERRAGAMO)」は、超若手のマクシミリアン・デイヴィス(Maximilian Davis)が就任しましたが、さすがマルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)CEOという感じで、彼を支える優秀なチームを作ったことが見てとれました。
大杉:「バリー(BALLY)」も含めて、刷新されたミラノ4ブランドについてはウェブに渾身のレビューを書いたので、ぜひそちらも多くの人に読んでほしいです!