注目ブランド&ショップの展示会写真でおさらいする2022-23年秋冬ウィメンズトレンド企画の第2弾は、コートについて。単価の高いコートはファッション業界にとって秋冬商戦の最重要アイテムであり、消費者の皆さんにとってもコーディネートの印象を左右する本命アイテムでしょう。「WWDJAPAN.com」内の分析でも秋冬はコート関連の記事のニーズが高く、世の皆さまのコートに対する興味関心の深さを感じます!というわけで、この記事を今秋冬のコート動向が気になっている全ての方に捧げます。
22-23年秋冬のコートの最大のポイントは、丈の変化です。ここ5年ほどウィメンズのコートはロング丈が主流で、階段で裾がすれてしまうほどのフロアレングスもすっかり市民権を得ていました。なかでも、ウールやウール混ダブルフェース(二重織り)の裏地のないロングコートは、カジュアルSPAチェーンからエレガント系セレクトショップまで、あらゆる店が品ぞろえする定番になっています。こうしたダブルフェースのロングコートは、思い返すとフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CELINE)」が発信源でした。ということはこの10年ほど市場に定着しているということになります。
そんな息の長いダブルフェースコートで、今季はロングではなく腰が隠れるくらいのショート丈の新提案が目立っていました。1枚目の写真は、毎年ダブルフェースのコートを企画しているアダストリア子会社、エレメントルールのセレクトショップ「カオス(CHAOS)」の展示会から。顧客やプレス関係者による先行受注の段階で、「ロング(写真右)よりショート丈(左)の反応がいい」と担当者が話していたのが印象的です。
サザビーリーグの「エブール(EBURE)」も毎年コート販売に定評があるブランド。今季はイタリアの高級生地メーカー「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」のカシミヤのダブルフェースを使ったコートを企画していましたが、ショート丈もしっかりそろえていました。
オンワード樫山が運営するEC主軸のブランド「アンクレイヴ(UNCRAVE)」は、ダブルフェース生地のショート丈アウターを、スリット入りスカートとのセットアップで提案していました。Aラインシルエットのアウターはジーンズなどのボトムスとも相性が良さそうです。
人気のブレザー感覚でショート丈が拡大?
ダブルフェース以外の素材にも範囲を広げれば、ショート丈アウターのバリエーションはさらに広がります。アルページュの「カデュネ(CADUNE)」は、こちらも旬であるツイードタッチの素材で腰が隠れる丈のコートを企画。ゴールドボタンを利かせたクラシックなムードはまさに今季らしい提案です。
ファーイーストカンパニーの「ルルウィルビー(LOULOU WILLOUGHBY)」は、ブレザー感覚で着こなせる、ネイビーのショートコートを企画していました。ブレザーは21-22年秋冬に「非常に売れている」という声を多くの店で聞いたアイテム。22年春夏、そして今秋冬も引き続きブレザーは街で着ている人を多数見かけますが、そこからの流れでショートコートが全体的に勢いづいているのかもしれません。
※写真は全て5〜6月に開催された展示会で撮影したものです。実際に店頭に並んでいる商品とは違いがあることがあります。