ラフ・シモンズ(Raf Simons)は11月22日、1995年にメンズブランドとして立ち上げた「ラフ・シモンズ」の終了をインスタグラム上で発表した。10月にロンドンで発表した2023年春夏シーズンがラストコレクションとなった。人気デザイナーによる突然のブランド終了はSNSなどでも大きな話題となったが、ここでは海外小売店のバイヤーのコメントをまとめた。(この記事はWWDジャパン2022年11月28日号からの抜粋です)
米百貨店ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)およびバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)でメンズ・ファッション・ディレクターを務めるブルース・パスク(Bruce Pask)は、ラフがパリで発表したデビューコレクションを会場で見たという。「ボリュームのあるグレーのフランネルパンツにぴったりとフィットしたTシャツ、後にラフのシグネチャーとなる小さな襟のスリムなジャケットというスタイリングはとても新鮮で、今でも鮮明に覚えている。デビュー当初から、ラフはメンズウエアの伝統的なプロポーションに変化をもたらし、業界に大きな影響を与えた。印象的なコレクションが多く、これが彼のキャリアを絶対的なものにしたというシーズンを挙げるのは難しいが、パリのラ・ヴィレット公園(Parc de la Villette)にある巨大なドームのスロープで行われたショーは素晴らしかった」と語った。
イタリアの高級ファッションECであるモード(MODES)のアレッシオ・コゾー(Alessio Cuozzo)=バイイング・ヘッドは、ラフを「ラグジュアリーの秩序を破壊した、“脱構築的ファッション”の申し子」と評する。「若者向けのサブカルチャーをクリエイティブの中心に据えたラフのスタイルは、中性的なシルエットを得意としており、ジェンダーや社会的・文化的な境界線を交わらせる。このため、彼のコンセプチュアルでアバンギャルドな作品を愛する熱狂的なファンも多い」。
英百貨店セルフリッジ(SELFRIDGES)のボス・ミール(Bosse Myhr)=メンズウエア&ウィメンズウエアディレクターは、「ラフはユースカルチャーとの結び付きが強く、その作品は見る者にノスタルジアを呼び起こす。00年代初期のコレクションは、シャープなテーラリング、ストリートウエア、アバンギャルドなアイテムなどが組み合わされており、現代のわれわれの着こなしの基本となっている。ラフには先見の明があり、『ラフ・シモンズ』の終了は小売店にとって大きな損失だが、今後も人々にインスピレーションを与え続けると思う。また、ただでさえ人気の高いブランド初期の作品は、さらに入手困難になるだろう」と述べた。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。