今シーズン、カラータイツを着こなしのスパイスに使う提案が相次いでいます。脚線を艶やかに見せられるだけでなく、差し色効果でスタイルにメリハリもつけられます。「マリークワント(Mary Quant)」やツィッギー(Twiggy)などの60年代ムードが復活するレトロトレンドが追い風に。地味に映りがちな冬ルックに、華やかさを添えるメリットも見逃せません。人気が続くミニスカートとも相性抜群です。
さまざまな色が登場しているので、自分のスタイルに合った色を取り入れられるのもうれしいところ。たとえば、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は鮮やかなピンクをセレクト。全体を濃淡違いのピンクでまとめて、“Y2K”風のミニルックに仕上げました。厚底シューズの色も一体化させて、レッグラインを細く長く見せています。今回はカラータイツを巧みに取り入れた新コーディネートを、有力ブランドのコレクションからピックアップしました。
白タイツでリュクスに格上げ
カラータイツはカラフルな色のイメージですが、白も立派なカラータイツです。ストッキングに多い淡いトーンではなく、はっきりしたホワイトなら、クラス感のあるノーブルな風情に。深い色味の服とのコントラストがポイントです。
「ジル サンダー(JIL SANDER)」は、モスグリーンのミリタリー風デザインコートが主役。そこに白タイツと白ブーツを加えて、凜々しさとピュアさを同居させました。白タイツが気品を寄り添わせています。
トレンドのグリーンはダークトーンで大人使い
グリーンは、年をまたいだトレンドカラーの地位を保っています。緑のバリエーションの中でも、黒に近いダークグリーンは大人っぽくまとえる絶好の色。明るい色のタイツよりコーディネートに落とし込みやすい色でもあります。
パテント素材のミニ丈ワンピースをキーアイテムに据えて、ミステリアスなムードにまとめたのは「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」。ダークグリーンのタイツがレッグラインをスレンダーに描き出し、差し色に添えた赤を引き立てています。タイツをあまり目立たせたくないときに使いやすいカラーです。
トップスと色をそろえてレトロ感を演出
素肌にフィットする“セカンドスキン”は、これから盛り上がる“新ボディーコンシャス”のキーピース。明るい色をまとえば、一段とボディー・ポジティブな印象に。少しくすんだトーンを選べば、レトロなムードを醸し出せます。
「フェラガモ(FERRAGAMO)」は、ボディスーツのようなトップスとタイツのコンビネーションで、ヘルシーなたたずまいに仕上げました。トップスとタイツの色をそろえて、セットアップのような統一感を演出。穏やかなオレンジの色調が、レトロな雰囲気を寄り添わせています。逆にスカートとブーツは黒で引き締めて、コントラストを際立たせました。
シャイニーなブルーで黒ルックに差し色
シャイニーなカラータイツは、レッグラインをシャープに見せてくれます。冬ルックに不足しがちな艶やかなカラーを補う上でも、便利に使える好都合なアイテムです。ダークカラーの服に差し色を迎える際にも役に立ちます。
ゴージャスな提案が得意な「トム フォード(TOM FORD)」は、毛足が長いブラックコートをワンピース風に提案しました。ボリュームたっぷりのコートにターコイズブルーのタイツを添えて、しなやかな見え具合に。タイツの光沢がグラマラスな雰囲気も同時に印象付けました。
注目色“ビバ・マゼンタ”はマルチカラーで迎えて
パントン社が、毎年12月初旬に発表する来年のトレンドカラー“パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー(Pantone Color of the Year)”に、2023年は深紅の“ビバ・マゼンタ(Viva Magenta)”が選ばれました。マゼンタピンクを混ぜたような色味が、プラウドで楽観的な新たなムードを象徴するかのようです。
カラータイツ使いが得意なブランドの代表格「アナ スイ(ANNA SUI)」は、ビバ・マゼンタに近い色合いのタイツを披露しました。主張が強い色をうまくなじませるには、マルチカラーの装いに混ぜるのが選択肢の一つ。テイストの近い色のブーツと合わせて、レイヤード風に仕上げているのも色を生かす小技です。
鮮やかなカラータイツを取り入れたスタイリングは、ワンポイントで手軽く冬ルックをおしゃれに格上げしてくれる着こなし術です。体のラインを隠さない“新ボディーコンシャス”のトレンドも表現しやすく、ミニスカートの視線はずしの役割も担ってくれるので、この冬はレッグラインを艶やかに彩ってみてはいかがでしょう。