2022年も多くの企業がサステナビリティへの取り組みを発表し、「WWDJAPAN」も精力的に紹介してきた。その数は年々増え、内容も多様になっており、何がどう進んだかを理解するのは難しくなってきた。ここでは編集部が今年特に注目したい11の動向を紹介する。今回選出しなかったが、欧米で進むトレーサビリティー(追跡可能性)担保に向け、日本の企業も動き始めている点も23年に向けては注目したい。
パタゴニアが新しい資本主義を体現
唯一の株主は地球
今年最も度肝を抜かれ、理解するのに時間がかかったニュースはパタゴニアの創業者一族が全株式を新設した2団体に譲渡したというものだった。9月14日(現地時間)、パタゴニアは創業者一族が会社の議決権付株式の100%を会社の価値を守るために設立された目的信託パタゴニア・パーパス・トラストに、無議決権株式の100%を環境危機と闘い自然を守る非営利団体ホールドファスト・コレクティブにそれぞれ譲渡したと発表した。この仕組みにより、毎年パタゴニアの事業に再投資されない資金の全てが地球を守るために配当金として分配され、パタゴニアから環境保全を行うための資金が提供される。つまり、同社が生み出す全ての利益を、地球を守るために使用することができることになる。パタゴニアは2018年にビジネスの目的を「故郷である地球を救う」に変更し、サステナビリティへの取り組みを加速。創業者のイヴォン・シュイナード氏は発表時は83歳で、これからもパタゴニアの理念やビジネス、人材を守りながら、よりスピードを持って環境危機に立ち向かうためには、株式の公開や売却など現行の方法では難しいと判断。新しい方法を模索し、約2年かけて発表に至った。創業者一族が富を築けない点、新しい資本主義の形を実践したという点などこれまでにない方法で、多方面で注目を集め話題になった。
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