「カルティエ(CARTIER)」は、2年かけて改装したパリの旗艦店を再オープンした。メゾンの香水を手掛けるマチルド・ローラン(Mathilde Laurent)とボタニカルデザインのスペシャリスト、メアリー・レノックス スタジオ(Studio Mary Lennox)によって外観の色は一新され、窓には植物が飾られ、その様相は大きく変わった。シリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)=カルティエインターナショナル最高経営責任者(CEO)は、「以前を知っている人なら、ここが『カルティエ』の新しいブティックとは思わないかもしれないね」と笑う。全6フロアには10のサロンのほか、アーカイブを展示する空間やワークショップのためのスペース、ダイニングルームや広々としたキッチン、ウィンターガーデンまで完備したレジデンスも作った。
1階には時計や革製品が並び、奥にはパリの中庭を模した吹き抜けアトリウムをしつらえた。中庭を見下せる窓からは、バックオフィスのスタッフが店舗の様子を確認できる。1933〜70年までアーティスティック・ディレクターを務めたジャンヌ・トゥーサン(Jeanne Toussaint)のオフィスはサロンへと生まれ変わった。
2階にはハイジュエリーが並び、「インド」や「フローラ」と名づけられた接客スペースのほか、スペシャルオーダーに対応するサロンがある。3階にはカスタマーサービス、4階には18の作業台を設けたハイジュエリーアトリエを構え、5階の一部と6階にはアーカイブを展示した。
アルノー・カレズ(Arnaud Carrez)=インターナショナルマーケティング&コミュニケーション ディレクターは、パリのラペ通りにあるこの店舗と、ロンドンのボンドストリート、ニューヨークのマディソン街に構える3つ旗艦店には、「過去と現在、そして未来を結びつける、体験型の空間」という役割を与えているという。そこでこの旗艦店は、外観のフレンドリーな雰囲気作りにもこだわった。「カルティエ」は、同じパリのシャンゼリゼ通りに面した店舗では、その入りやすい印象から年間で1億人の消費者を出迎えているという。今後はパリのみならず、ジュネーブやミュンヘン、ミラノでも大規模なリニューアルを行う予定だ。