「アン ソフィー マドセン」2016-17年秋冬東京コレクション

REPORT

エルヴィスの“双子の兄を思う人生”を異素材ミックスで表現

　今季のインスピレーション源はエルヴィス・プレスリー。彼の有名な楽曲やファッションスタイルではなく、「双子として生まれるはずだったエルヴィスが、誕生時に双子の兄を失い、一人で生まれてきた」という逸話からコレクションのストーリーを広げた。どのルックも2種類以上の素材をミックスして構成し、彼の“双子の兄を思う気持ち”と”もう一人の自分を探す人生”を描いた。

　メンズライクなスーツにはオーガンジーのフリルをふんだんにあしらい、フェミニンとマスキュリンな要素を融合。フィッシュネットのトップスにファーを重ねたスタイルは、人間の強さと弱さという二面性を表現する。ビッグシルエットのスーツは白い仕付け糸で仮縫いが施され、未完成なディテールで不安定な心をあらわにしているようだ。

　ブランドが得意とするクラフト感のあるダイナミックなディテールも健在。端切れをランダムに縫い合わせたドレスは歩く度、たらしたピースが天女の羽衣のように舞い上がる。ユニークなロープ使いもコーディネートのアクセントになった。細いロープはベルトとしてウエストに縛ったり、太いロープはネックレスとして首にゆるく巻き付けたりして、アクセサリーとして提案した。

　なお、来季の17年春夏コレクションもMBFWT内でコレクションを発表する予定だ。

LOOK