「イケア(IKEA)」と「マリメッコ(MARIMEKKO)」が共同制作した“バストゥア”コレクションの発表会が2月、東京サウナラボ神田で開催された。“バストゥア”とは、スウェーデン語の方言で“サウナ”のこと。北欧発の両ブランドには馴染み深い“サウナ”に着想源を得た同限定コレクションは、世界各国の「イケア」で販売される(日本は3月1日発売)。
イベントのために、「イケア」のヘンリック・モスト(Henrik Most)クリエイティブ・リーダーと「マリメッコ」のレベッカ・ベイ(Rebecca Bay)クリエイティブ・ディレクターが来日。会場で、“バストゥア”コレクションの誕生秘話などについてトークセッションを行った。
サウナは日本をはじめ、世界中で注目されているトレンドだ。コレクションのインスピレーションについてモストは、「北欧ではサウナ文化が根付いており、日常的にセルフケアを楽しむ。“バストゥア”コレクションはサウナでなくても、自宅のバルコニーや公園、ビーチなどで楽しめる」と話す。「マリメッコ」の本拠地フィンランドには人口約500万人に対し、国内にほぼ同数のサウナがあるというから、国民的な時間の過ごし方と言っても過言ではない。ベイは、「サウナは民主的なスペースとして息づいている。このコレクションは、サウナの中だけでなく、前後にどのようにリラックスするかをイメージしてつくられた。コレクションを見て、リラックスすることの大切さや楽しさに気づいてほしい」と言う。“バストゥア”はサウナだけでなく、さまざまなシーンで意味を持つ多様性のあるコレクション。「有機的なフォームで日々に喜びをもたらすデザインだ」と続ける。
コラボレーションは有機的な取り組みだったようだ。モストは、「お互いにコラボしたいという思いがあり、デートに出る感覚でスタートした」とコメント。「イケア」と「マリメッコ」のクリエイティブなスタッフが一緒になり、両ブランドの経験を融合して完成した。「イケア」のホームファニッシングと「マリメッコ」のプリントのノウハウが融合した“バストゥア”はさまざまなプリントが特徴。ベイは、「自然と建築の出合いを表現。ヒーロープリントのルバーブはサウナ小屋の周りに野生で生えているものがモチーフになっている」と言う。カラフルで有機的な形のルバーブのモチーフは見ているだけでも楽しくなる。「春の訪れを感じるようなプリントだ」とモスト。“バストゥア”には世界中どこにいても、日々の生活の中で“自分を大切にする時間”をつくってほしいという願いが込められている。
北欧と日本の共通点はサウナと銭湯や温泉
イベント2部では、ペールエリック・ヘーグベリ(Pereric Hpgberg)在日スウェーデン大使とレーッタ・プロンタカネン(Reetta Purontakanen)駐日フィンランド大使館報道・文化担当参事官が加わり、スウェーデンとフィンランドにおけるウェルビーイングの大切さについて語り合った。
「北欧では、ワーク・ライフバランスがとても大切。外交など重要な決断の場がデスクではなくサウナであることもある」とヘーグベリ大使。体と心のバランスをとることが、スタートアップなどの起業にもつながるという。プロンタカネン参事官は、「サウナは心を解放する場でもあるし、サウナに入った日は熟睡できる。自分をケアすることに気付けば、よりクリエイティブでバランスの取れた生活ができるはずだ」と話す。ヘーグベリ大使は、「北欧のサウナや日本の銭湯や温泉では、人前で裸になるのが当たり前。そういう意味で自分を解放していると言えるだろう」とコメント。確かに北欧にはサウナ、日本には銭湯や温泉といった文化があり、人前で裸になることに抵抗がない。「サウナは年齢を超えたアイデアの交流の場」とベイ。北欧では、産まれて数ヶ月で初めてサウナを体験し高齢になるまで日々の生活の一部のようなものだという。家にサウナがあったというヘーグベリ大使は、「日曜日の夕方には家族でサウナに入り、会話を交わしたものだ。サウナは解毒剤のようなもの。デジタルデトックスにもなる」と話す。北欧でサウナ、日本では銭湯や温泉が身心のリラックスに役立つようだ。「“バストゥア”が自分のリラックス法を見つける手助けになれば」とモスト。“バストゥア”コレクションを通して、改めて自身のウェルビーイングについて考えてみるのもいいかもしれない。