「WWDJAPAN」は4月3日号で、ファッション&ビューティ業界の新入社員や若手社員に向けて、「プロになろうーー知っておくべき業界の今」と題した特集を掲載している。それと連動し「WWDJAPAN.com」では、業界で活躍するアラフォー世代以下のリーダーたちに、自身が若かったころに心掛けていたことや、それが今にどうつながっているかを取材。連載形式でお届けする。今回はマッシュビューティーラボが展開するセレクト業態、ビープルで昨年サブディレクターに就任した双子姉妹の浜津奈央・早希さんに話を聞いた。
WWD:化粧品業界に携わるきっかけは?
浜津奈央マッシュビューティーラボ リテール事業本部MD2部 ビープルサブディレクター(以下、奈央):学生時代に肌荒れに悩み、栄養士の資格を持ちオーガニック・ナチュラル分野に長けていた母と新宿伊勢丹本店のビューティアポセカリーに行ったのがきっかけです。担当スタッフがおすすめしてくれたオーガニックブランド「フランシラ(FRANTSILA)」を使うと肌が元気になっていったんです。茅ヶ崎に住んでいたので、近くで購入できないかと調べたところ横浜にコスメキッチンがあり、運営会社であるマッシュビューティーラボの存在も知りました。幼少時から接客とレジ打ちが好きで、どちらもできるドラッグストアで7年間アルバイトをしていたのですが店舗が改装するのを機に辞め、2015年8月にマッシュビューティーラボに入社しました。
浜津早希マッシュビューティーラボ リテール事業本部MD2部 ビープルサブディレクター(以下、早希):私も大学時代に奈央と同じドラッグストアでアルバイトをしていて、二人で横並びでレジ担当していたんです(笑)。化粧品や食品など取り入れたものによって体や肌が元気になるのを実感し、新卒で別の分野に就職したのですが、フランスのナチュラルコスメを扱う企業に転職しました。販売スタッフとして従事していたのですが、そのブランドは子どもが使用できたり、肌荒れに悩む人が使えたりする商品が多くなかったので、近隣店舗のコスメキッチンをおすすめすることが多かったんです。私自身もコスメキッチンやビープルの顧客だったこと、奈央がマッシュビューティーラボに就職していたこともあり、紹介してもらい2017年3月に転職しました。
店舗のカテゴリー別売り上げNo.1をインプット
WWD:入社後は店舗スタッフとして従事、当初心がけていたことは。
奈央:ビープル横浜相鉄ジョイナス店に配属となり、半年間は準社員、1年後に正社員に。最初は数多くのブランドがあり、多種多様なお客さまが来店するので自分自身がどのようなモチベーションで対応すればよいか分かりませんでした。なので最初は得意のレジをひたすら担当していました。まずはビープルで扱うカテゴリーの売り上げトップ1を頭に入れ、先輩スタッフからアドバイスをもらったり、取引先メーカーからブランドの背景を聞いたりして、知識を蓄積していきました。知識が豊富なお客さまが多かったので接客を通じて学ぶことも多かったですね。その後店長、トレーナー、マネージャーと経験し、2022年にビープルサブディレクターに就きました。主にインナーケアとフードのバイイングを担当し、MDディレクターも兼ねています。
早希:私はコスメキッチン アトレ吉祥寺店に配属され、前職の経験もあったことからその後、渋谷ヒカリエ シンクス店で店長に就きました。当社には新人スタッフに半年間経験値のあるスタッフがついて教育するエデュケーター制度があるので、そこでの学びは多かったです。奈央同様に、店長、トレーナー、マネージャーを経て、本社勤務となりました。それまではコスメキッチンの担当でしたが、22年からビープルサブディレクターに就任し、アウトサイドケアのバイイングを任されています。そのほか、セールスディレクターも兼任しています。
WWD:印象に残っている出来事ことは。
奈央:店長時代に一度スタッフを泣かせてしまったことがあるんです。そのスタッフはレジを担当することに気を取られ、接客がおざなりになっていました。私は体育会系でがむしゃらに頑張るタイプで、自分と同じものを求めていたんですね。スタッフごとに性質が違いますし、店舗の特性もあります。それぞれに合った対応が必要だと痛感しました。普段はチームのコミュニケーションを重要視し、インスタグラムでつながりライフスタイルも把握できるようにしていましたね。
早希:シンクス店は売り上げの多い店舗で1日平均160万円の売り上げが、コロナ禍で30万円に落ち込みました。21人のスタッフを抱え1日13人で回していましたが、スタッフの人数がお客さまより多かった時期もありました。これまではお客さまが多く来店するため店頭対応で精一杯でしたが、一人一人のスタッフにブランドを担当してもらい、伸ばしたいブランドを決め朝礼で発表してもらいました。それぞれが担当ブランドのメーカーとのコミュニケーションが密になり、ブランド愛も強くなりましたね。また、私も店長時代にスタッフの教育で一度悩みました。店舗の中でVMD(ビジュアルマーチャンダイザー)は誰に任せた方がよいかなど適材適所を見極めるのに苦労しました。常にスタッフには話かけていましたし、誕生日は絶対覚えて一声掛けていましたね。
WWD:仕事の悩みやストレスの解消法は。
奈央:両親が長野に動物と住んでいるので実家に戻りリフレッシュしたり、お風呂に1時間ほど入ったり、寝て、食べたいものを食べたりすることですかね。友人や同僚ともご飯を食べにいきお互いの近況報告や相談もしています。
早希:私も同じ店舗だったスタッフと食事にいったり、友人と会ったりして気分を切り替えていますね。
WWD:新入社員に取り組んでもらいたいことは。
奈央:自分の好きなことを見つけることです。まずはいろいろなことに挑戦し自分に不向きなことを理解する。そして腹を割って話せる同僚や先輩・上司との出会いも大切。ステップアップするための土台作りをしてほしいですね。
早希:私たちは、ビープルのバイイング業務だけではなく、サブディレクターとして3月に開催した恒例の展示会「ビープルフェス」ではコンセプト立案からVMDまで幅広く経験し、分からないことも多く大変でしたが終わってみると自信につながりました。みなさんにも自分に規制をかけずチャレンジしてほしいですね。そして壁にぶつかったときには一人で抱え込まずに話せる友人や先輩を見つけてもらいたいです。人とのつながりは本当に貴重なものですよ。