サザビーリーグのウィメンズブランド「エブール(EBURE)」の2023-24年秋冬は、無駄な装飾を削ぎ落としたシンプルなスタイルを追求しつつ、レイヤードやスタイリングによって着こなしの幅が広がる提案に力を入れている。「(海外コレクションや世の中一般のムードとして)原点回帰、本質に戻るといったことが言われているシーズンだが、『エブール』はもともと本質を追求しているブランド。だからこそ逆に、その中でどう遊べるかを考えた」と、古屋ユキ ディレクター兼デザイナーは話す。
注目アイテムのクロップドトップスを、大人にも挑戦しやすい着こなしで取り入れている。ウールダブルフェースのショートコート(10万8900円)、フレアスカート(8万3600円)とそろいの生地で仕立てたクロップドタンクトップ(4万7300円)は、細番手のリブニットに重ねて、素肌は見せずに旬の気分を取り入れる。ボタンダウンドレスに、共布のクロップドキャミソールを重ねた提案(7万8100円)もある。ネクタイ付きのブラウスは、タイを外せば大人な表情のバックジップのブラウスに。共布でフレアスカートやダブルフロントのジャケットを企画した。
立ち上がりの6月はフォレストグリーン、8月はフューシャピンクといったように、鮮やかな色を差しているのも特徴。ターコイズブルーのスーリーアルパカのニットプルオーバー(3万4100円)は、ニットスカーフもセットにし、遊び心を添えている。
中綿ロングコートで戦略商品も企画
コート販売に強いのも「エブール」の特徴だ。今秋冬はコートで20型を企画し、ロングからショートまで、チェスター、ショールカラー、フード付き、Pコートタイプなどデザインバリエーション豊富に見せる。「ロング丈も以前のようなフロアレングスよりはやや短めになっており、膝下くらいの中間丈も増えている」。原料価格などの高騰により、ウールコートの裾値は従来の9万9000円から10万円超えへと値上がりしているが、上質な素材を適正な価格で提供できるよう、尾州の生地メーカーなどとの取り組みを強めている。また、気軽に買える戦略商品として、薄く中綿を入れたロングコート(8万300円)も企画した。中綿でもカジュアルにならず、クリーンでエレガントな印象だ。
毎秋恒例のコート予約会は7月後半から都内2店、全国計5店で開催する予定。また、10月に開業する京都高島屋S.C.に出店することが決まっている。この出店により、直営店は全9店となる。今春夏の店頭では、ダブルフロントのテーラードジャケットが好調という。