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特集 Z世代が企業に求める「サステナビリティ」の今

「ラッシュ」が“ネイキッド”を加速、プラ問題に一石を投じる【Z世代が企業に求める「サステナビリティ」の今】

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  • 「ラッシュ(LUSH)」

化粧品は役目を終えた後のボトル容器や包装はいずれごみとなり廃棄されることが多い。中でもプラスチックの容器包装をめぐる環境負荷の低減は喫緊の課題だ。プラスチック使用量の削減を軸に、再生プラスチックの活用や詰め替えなどの取り組みが進む。(この特集は「WWDBEAUTY」2023年5月29日号からの抜粋です)

「全ての容器に責任を持つ」

ラッシュは化粧品を製造する企業として、「商品がお客さまの手に渡った後も販売した全ての容器に責任を持ちたい」という考えをベースに、プラスチック使用量の削減に力を注ぐ。日本で事業展開するラッシュジャパンでは、2008年に100%リサイクル素材を使用したプラスチック容器に切り替え、10年には空き容器の店頭回収を開始。それを材料とし、商品の容器として再生させる循環型容器返却プログラム「ブリング・イット・バック」を実装しながら、PCR(ポストコンシューマーリサイクル)素材の再生プラスチック容器を採用している。窪田とも子ラッシュジャパン アースケア スーパーバイザーは、「店頭回収は認知されるまでに時間を要したが、空き容器を持参してもらうために特典を付けるなどと楽しく体験できるプログラムを加速し、ファンの裾野を広げてきた。ここ最近はプログラムを通じて『自分が環境配慮に貢献できていることが嬉しい』といった声が増え、お客さまの意識にも変化が現れてきている」と話す。22年度の容器返却率は19%だったが、今年度は25%を目標に取り組む。

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循環型容器に取り組む一方で、シャンプーバーやバスボムなど“裸”の状態で販売する「ネイキッド」は創立当初から導入しており、ブランドを代表する商品だ。日本は16年にネイキッド商品の展開をスタートし、商品全体の46%(22年度時点)を占める。「日本では行政からアドバイスを貰いながら薬機法などのルールに従い、お客さまに安心して手に取ってもらえるように試行錯誤しながらネイキッド商品の販売を実現した。フィルムや包装で囲わないことで、色の鮮やかさや香り、手作りならではのフォルムなど、手に取る楽しさにつながっている」と、“プレイフル”を大切にしながら地球環境にポジティブな影響をもたらしている。「お客さまは容器を買いに来ているわけではない。容器にお金をかけるのではなく、中身やお客さまとのコミュニケーションに注力し、お客さまのベネフィットになるものに投資していきたいと考える」。

化粧品業界では、世界で毎年1200億個のパッケージが製造されているが、その多くはリサイクルできない素材であるという(plasticpollutioncoalition調べ)。そこで、新たにブランド初となるプラスチックパッケージを使わないビーガン対応の“ネイキッドマスカラ”を開発。5月に販売を開始し、「使う楽しさが詰まっている」と、好調な滑り出しを見せている。“ネイキッドマスカラ”を皮切りに、化粧品業界のごみ問題に一石を投じる。

GENERATION Z COMMENT

橋本圭史
青山学院大学発のファッションブランドサークル
「アオヤマ ファッション アソシエーション」クリエイティブ ディレクター兼代表


使用済みの化粧品容器が新たな容器に生まれかわる仕組みが印象的だった。店内の返却ボックスを見て、ボトルの洗浄やラベルを剥がす工程が面倒で返却率が下がるのでは、と疑問がわいたが、手間をかけることで環境問題に関わっているという意識につながると聞き感銘を受けた。マーケティングとしてではなく真の意味で多くの人を巻き込む「ラッシュ」の取り組みを知り、自分も小さなアクションを起こし周りを巻き込んでいこうと思った。

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