パタゴニア(PATAGONIA)は6月8~20日、“ウォーン ウエア(WORN WEAR)”をコンセプトにしたポップアップストアを京都店内で開催している。ポップアップストアでは、中古品の販売のほか、店頭でのウエア修理、修理して長く着続けることを訴求するストーリーの展示などを行っている。週末には、リペアイベントやワークショップなどさまざまなイベントを開催する。また、日本で初めてダメージの大きい製品から新しい衣類に作り替える“リクラフテッド(ReCrafted)”製品の販売を行っている。
今回準備した中古品は約3000点。京都店の約3分の1のスペースに常時600~700点の商品が並ぶ。価格は状態にもよるが定価の約40%。例えば状態の良い“レトロフリース”は8800円といった具合だ。
すでに“リクラフテッド”を販売している本国米国では生産量が少ないこともあり常に品薄状態が続いていると同社。今回、ポップアップストアのために1年をかけて約200点を用意した。衣服に修理を施すことでユニークな一点物になったアイテムや生地やパーツのアップサイクル品は、日本のリペアスタッフ35人のうち約20人と、外部パートナー数人が制作した。加えて、京都・亀岡市のほず藍工房が藍染めした製品を用意した。平田健夫パタゴニア日本支社サーキュラリティ ディレクターは「制作にあたり、『元の製品を生かす』などいくつかのガイドラインを設けたが、基本はスタッフのクリエイティビティを生かして自由に制作してもらった」と語る。例えば、袖口のダメージが大きいダウンジャケットは縫い目に合わせてパタゴニアカラーの生地で補強した。シェルのフードは裏地にVMD備品の生地を活用してポーチ型のバッグに作り替えた。それぞれのアイテムが全く異なる表情を持ち、見ているだけで楽しいアイテムがそろう。
中古品や“リクラフテッド”製品の販売は、マーティ・ポンフレー(Marty Pomphrey)日本支社長が日本での実現に向けて力を入れている。これまでも目白ストアで中古品の販売を行ったり、2021年に渋谷店で大々的に期間限定の“ウォーン ウエア”プログラムを実施したりして、好評を得ていた。特に渋谷店は「想定以上に反響が大きく商品がラックからなくなり、準備していたアイテムをほぼ売り切った」と平田ディレクター。今回並ぶ商品は、使用済返品制度で返品されたもの、店頭の回収ボックス、期間限定で試験的に行っている買い取り製品で構成した。
買い取りは、二次流通のプラットフォームなどさまざまな競合がいるため難易度が高そうだが、「『高く売る』よりも責任を持って買い取ることに信頼を寄せている方や、“ウォーン ウエア”のコンセプトに共感してくださる方が持ち込んでくれている。買い取りは試験的に行っているが反応が良く、オンラインで3週間行ったところ約2000点が集まった」という。今後のポップアップストアや常設については検討中だというが「ポテンシャルは高い。多くの人に体験を通じて服を長く着ることを伝えていきたい」と語った。