「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、“粘膜リップ”をきっかけに、パワーワードを使ったコミュニケーションの“旬”を考える。
ソーシャルエディター浅野:“粘膜リップ”という言葉をご存知ですか?唇の粘膜の色に近い、艶やかな血色感を表現したリップのことです。言い換えれば肌なじみの良いナチュラルトーンの艶リップ、といったところでしょうか。SNSでは数年前から使われていたキーワードですが、5月に「ヴィセ(VISEE)」が“ネンマクフェイク ルージュ”という商品を発売するなど、一般的にも認知される言葉になってきました。
しかし一部では、「粘膜って言葉の印象が良くない」「前から思ってたけど“粘膜リップ”って言葉好きじゃない」という意見が散見されるように。確かに“粘膜”って、メイクのかわいいや美しいとはあまり紐づかない言葉だし、ちょっと生々しいイメージです。ただSNSで登場しはじめた頃はインパクトがあったし、想像しやすく言い得て妙だな、なんて思っていました。SNSでバズる言葉はやや大袈裟だったり過激な傾向があるので、一般的な市場ではネガティブな反応が一定数起こるのは仕方がないことですが、「SNSで盛り上がっていたコンテンツがマス層に広がるとシラける」も影響しているように思います。ある程度限定されたコミュニティで盛り上がっているタイミングが熱量のピークで、声の大きなメディアが入ってくると自分たちのコンテンツを取られたような気分になるというか……。SNSでバズったトレンドをPRに取り入れてみたけれど、反応はいまいちだった……なんて経験がある業界人の方は多いのではないでしょうか?
もちろんSNSはトレンドの台風の目であることは間違いありませんが、参入するにはタイミングと距離感が重要だと感じます。企業がSNSのスピード感でアクションするのはなかなか難しいですが、「今だ!」という潮目を読む感覚に長けているブランドは成功していますよね。
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