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「幸福をもたらす新たな選択肢へ」 「なんぼや」を手掛けるバリュエンス社長が語る、リセールの存在意義

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「メルカリ」に代表されるフリマアプリの浸透や、コロナ禍の巣ごもり生活によって家庭の不要品を売り買いするリセール市場が拡大している。専門誌「リサイクル通信」のリポートによると、2021年のリユース市場の規模は2兆6983億円と過去10年で倍増。25年にはさらに3兆5000億円まで成長する見通しだ。6月12日の「WWDJAPAN」は、特集「ブランド買取の裏側」。市場を理解するための基本的なポイントや、主要プレーヤーの買い取り現場などをレポートする。ここでは、業界最大手のセカンドストリートの事業戦略を掘り下げる。(この記事は「WWDJAPAN」2023年6月12日号からの抜粋です)

ブランド買取の「なんぼや」を運営するバリュエンスホールディングスは、2011年創業ながらリセールの主要プレーヤーとして急成長している。22年8月期の売上高は633億円。5年で2倍に押し上げた。コロナやSDGsの流れでリセール事業には追い風が吹いているが、「価格以上の付加価値が必要だ」と嵜本晋輔バリュエンスホールディングスCEOは語る。

WWDJAPAN(以下、WWD):12期目にして売上高600億円を達成した。自社の強みをどう分析する?

嵜本晋輔バリュエンスホールディングスCEO(以下、嵜本):われわれの強みは集客力、買取力、販売力だ。集客力でいえば、リセール業界でいち早くデジタルマーケティングに注力してきた。創業当初はウェブで集客する概念がなく、折り込みチラシや紙媒体での訴求がメインだった。そんな中これからはPCやスマホが生活の軸になると考え、検索ワードによるニーズ分析と、そこに合うコンテンツの提供に注力してきた。出店エリアも検索データや人口動態から算出し、今では主要都市ほぼ全てに出店した。データは買取施策にもひもづけており、例えば時計を検索する人が多いエリアなら、時計の買い取りを強化する。今でこそ業界のスタンダードになったが、新しいビジネス習慣を作ってきた自負がある。現在は月間3万5000人が来店し、3万人の買い取りが成立する。毎月、買取額45億〜50億円の商材が入る。これは日本一で、おそらく海外にも並ぶ企業はない。

WWD:デジタルマーケティングを極めれば勝てるのか?

嵜本:いや、そうではない。デジタルマーケティングはあらゆる事業のベースだが、それだけではダメだ。来店いただいたお客さまを、いかに成約に結びつけるか。多くの人は、最も高い金額を提示する買取店が最も強いと答えるだろうが、これは大きな間違いだ。買取金額は1つの要素にすぎず、十分条件ではない。金額ではなく、体験価値で勝負する。

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