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カネボウ化粧品「センサイ」がグローバル戦略を加速 売上高3倍目指す

カネボウ化粧品のプレステージブランド「センサイ(SENSAI)」がグローバル戦略を加速する。グローバルプレステージ市場において「唯一無二の存在感を放つ」ブランドを目指し、2030年までに売上高を3倍に拡大する方針。その第1弾として、最高価格帯のスキンケア“UTM”シリーズ(4品目5品種、2万8600~8万5800円)を9月1日にリニューアル発売する。世界40カ国以上で順次発売し、日本は9月6日に販売を開始する。また、アジア市場拡大の足がかりとして、年内にブランド初となる旗艦店を中国・上海にオープンする。

1983年に誕生した「センサイ」は、「丁寧に繊細に生きる」をブランドコンセプトに掲げ、日本原産の小石丸シルクを主原料にメード・イン・ジャパンのモノ作りを訴求する。欧州を中心に40カ国以上で展開し、日本は“逆輸入”の形で2019年に導入した。

桜井郁子ブランドマネジャーは、「これまではある意味、ヨーロッパのローカルブランドであった。お客さまに日本の文化を伝えるとともに、ヨーロッパの文化と融合させた商品を提案しながら認知向上に努めてきた。これからは真のグローバルブランドになるためにヨーロッパはもちろんのこと、日本や中国、その他の国のお客さまに目を向けることが重要であると考えている。化粧文化が違う国に対し、我々が大切にしてきたものをどのようにアップデートできるか知恵を絞っていきたい。サステナブルの文脈でもブランドならではのアプローチを考えていく」と述べた。

各エリアの戦略では、基盤となる欧州市場は2030年に向けて高価格帯シリーズの強化とともに、特にメイクが強い北欧エリアを中心に独自のアイテムやメソッドを強化し、高収益化を目指す。なお、22年は新商品の売れ行きが好調で、前年を上回る実績を残した。

19年に導入した日本市場は、直後にコロナ禍に見舞われたが、22年は日本人客とインバウンド客の取り込みに成功。売上高は前年の2倍と大きく伸長した。今後は、外商や高級旅館でトリートメントを導入するなど富裕層との接点拡大を図る。現在、伊勢丹新宿本店、阪急うめだ本店、ジェイアール名古屋タカシマヤの3店舗で取り扱うが、今後も多店化は行わない予定。

21年に導入した中国市場は、「他のブランドがしのぎを削る高価格帯市場では、同様の戦い方ではなく『センサイ』ならではの価値を基盤に、ECが成熟した後に進出するメリットを最大限に生かした取り組みを目指す」と話す。特に中国人客は、最高峰の体験とともに確かな効果効能とエビデンスを重視する傾向があることから、オープン予定の上海の旗艦店は体験型店舗として位置付ける。中国のラグジュアリー層に向け、特別な体験ができる場を設けることでブランドへの理解を深め、EC事業との相乗効果を図る。最高級ホテルでスパトリートメントの導入も予定している。桜井ブランドマネジャーは、「今後、エリアを拡大しながらもブランドの軸となる価値をぶらさず、独自のラグジュアリー価値を研ぎ澄ました唯一無二の存在として築いていく」と意欲を燃やす。

“UTM”シリーズは、13年に最高級シリーズとしてデビュー。同ブランドのラグジュアリーの象徴ラインとして存在感を高めてきた。今回のリニューアルでは、花王グループが長年研究してきた皮膚科学に基づき、オートファジーなどの技術に着目した。化粧水2タイプ、乳液、クリームの4品のテクスチャーを見直し、肌と一体化するような使い心地へと進化。原料の一部に自然由来成分を配合するほか、パッケージの一部に再生素材を採用し、重厚さと軽やかさを融合させたデザインにリニューアルした。新“ザ クリーム N”は、新たにレフィルもラインアップする。

加えて、「日本の卓越したモノ作りの精神を讃える」一環として、手作り茶筒工房の老舗「開化堂」とコラボレーションをした限定商品(16万2800円)を欧州と日本で発売する。さらに、建築家の坂茂とともに、再生可能な素材を使用し、環境負荷の少ない工法での設置が可能なポップアップ空間をデザイン。各国のイベントに使用した後に、ポンピドゥー・センターのような芸術文化施設に寄付し、子供向けの展示や読書スペースなどに転用する予定だ。

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