ケリング ボーテ(KERING BEAUTE)は6月27日、英国のラグジュアリーフレグランスブランド「クリード(CREED)」の全株式を米資産運用最大手ブラックロック(BLACKROCK)のプライベート・エクイティ(PE)ファンドであるロングターム・プライベート・キャピタル(Long Term Private Capital)と、「クリード」のハビエル・フェラン(Javier Ferran)会長から取得する契約を締結したと発表した。取引額は非公開だが、業界筋によると約15億ドル(約2115億円)に上るとみられる。取引は今年中に完了する予定。「クリード」は、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」「ポメラート(POMELLATO)」「キーリン(QEELIN)」といったケリング ボーテのフレグランスブランドに加わることになる。
「クリード」はジェームス・ヘンリー・クリード(James Henry Creed)がヨーロッパの王室御用達の仕立屋として1760年に創業。後にフレグランスメゾンとなり、長年にわたる同族経営で伝統と創造性を維持してきた。ベストセラーの男性用フレグランス“アヴァントゥス”は、世界の主要市場において高級フレグランスのランキングで常に上位に位置している。芸術性と完璧さを追求するメゾンとして知られ、天然原料の調達、研究により常に最高級の製品を仏パリ郊外のフォンテーヌブローにある自社工場で持続可能な形で生産している。現在、世界各地に36の直営店と約1400の小売り店舗の流通網を持つ。過去数年間にわたり2ケタ台の成長を続け、2023年3月期の売上高は2億5000万ユーロ(約387億5000万円)を超えている。
ケリング会長兼CEOのフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)は「『クリード』の買収は、ケリング ボーテによる最初の戦略的取り組みであり、ラグジュアリービューティ分野で確固たる地位を築くというわれわれのコミットメントを示すもの」とコメント。ケリング・ボーテは、特に中国とトラベルリテールでの展開を加速し、フェミニンフレグランスのポートフォリオと、ボディー、ホームカテゴリーをさらに拡大することで、地域、チャネル、カテゴリーを超えてブランドの可能性をさらに引き出すとしている。
「クリード」は、クリード家が20年初頭にブラックロックとフェランに売却。業界筋によると、クリード家は2億ドル(約282億円)を超える収益を得たと推定されている。
ケリングはビューティカテゴリーを強化しており、2月に元エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)=インターナショナル・シニア・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのラファエラ・コルナッジャ(Raffaella Cornaggia)をCEOに迎えケリング ボーテを設立した。「クリード」は同社が扱う初のニッチフレグランスとなる。