オンワード樫山によるD2Cの婦人服「アンクレイヴ(UNCRAVE)」が好調だ。2020年春の販売開始以降、2ケタ成長を維持し、今期(24年2月期)は売上高10億円を超える見通しだ。EC(ネット通販)をメインとする一方、ポップアップストアやショールーミングストアを設け、顧客が実際に商品に触れる機会を増やす戦略が功を奏した。
「アンクレイヴ」は30〜40代の働く女性が着回ししやすいミニマルな衣服を目指し、ベーシックなカラーでアイテム展開をするほか、UVカットや“マシーンウォッシャブル”(洗濯機で洗える)などの機能にもこだわる。ジャケットとパンツ、スカートなどセットアップの提案が多いのも特徴だ。
今年の春夏は伊勢丹新宿本店、阪急うめだ本店、ジェイアール名古屋タカシマヤ、大丸札幌店、大丸東京店の5カ所でポップアップストアを開き、1週間前後の期間で最大2000万〜3000万円を売った。2月には初のショールーミングストアを表参道で行い、会場からインスタライブを配信するなどして、多くの顧客を集めた。春夏シーズンの売上高も前年に比べて20%増で着地する見通しだ。同社の越智大輔執行役員は「ECだけでは素材やパターンの良さが十分には伝わらない。お客様が直接手に触れる場を作ることで、購買の決定率がぐんと高まる」と話す。リアルの場ではトップスとボトムスの販売率も高まるうえ、顧客の率直な感想を集める機会にもなる。
6月27・28日に都内で開催された秋冬向け商材の展示会では、メリノウールを使用したハリのあるニットジャケット(1万6940円)や、フクレジャガード素材のスカート(2万5960円)、ネップヤーンを織り交ぜたツイードセットアップ(ジャケット、オールインワン 各2万9920円)など、素材をひと工夫したアイテムを多くそろえた。