気づけば今秋開業予定の「麻布台ヒルズ」については、入店するブランドの意気込みがハンパない印象を受けています。
例えばあるブランドは、「選んでいただけて光栄だが、一方で私たちは、館側のニーズに応えられるほどラグジュアリーなのか?」と考え、360人の全スタッフがアマンホテル東京に宿泊。「麻布台ヒルズ」のレジデンスを手掛けるアマンによるホテルでラグジュアリーの真髄を学びつつ、この街で接客するのであろう富裕層の志向・思考を学びました。
別のブランドは、麻布台という立地にプレッシャーを感じているようでした。このブランドがこれまで入店してきたのは、銀座や表参道、そして大繁華街の百貨店。比して麻布台は、全然違うエリアです。もちろん森ビルなどは「麻布台ヒルズ」でこの街に人を引き込んで、六本木とともに新たな街区にしたい思いがあるのでしょうが、それでも銀座や表参道とは違います。物見遊山の“一見さん”による賑わいが一段落した後は、東京ミッドタウンや六本木ヒルズのように、それこそレジデンスの住人を筆頭に、ローカルとの絆を深めることが欠かせません。それはトラフィックの多い一等地に出店してきたラグジュアリー・ブランドにとっては、新たな挑戦でもあります。日本では百貨店とタッグを組んできたVIC(Very Important Customer)対策を自前で、しかも、これまで以上のレベルに格上げする必要があるからです。とはいえ私は、「当面はインバウンドがあるから安泰じゃない?」なんて思ったりもしています(笑)。
その上で1つ注目したいのは、同時期に開業する「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」への出店を早々に発表したベイクルーズの大型店です。これは、仙台や名古屋、福岡に次ぐマルチブランドの大型店。地下鉄一本の近隣エリアと差別化するため、ライフスタイルな品揃えで界隈のローカル、ビジネスマン、そしてインバウンドを呼び込むでしょう。どんな品揃えと接客で、高所得者・高感度層を捉えるのか?同じような戦略は、界隈の他店にも広がるのか?に注目しています。
いずれにせよ肌感覚の話ですが、「麻布台ヒルズ」はこれまでよりも消費者を選び、一方で選んだ消費者に選ばれることに大きく舵を切る商業施設として新しいのでは?という印象を受けています。「消費者を選ぶ」については、いろんな意見があるかもしれません。でも、それに大きく舵を切ることができるのだとしたら、これまでよりも新しい何かが生まれることは間違いありません。そんな気配・期待を感じるから、少なくとも私はワクワクしているのかも?今の気持ちを、そんな風に捉えています。
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