「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、フィンランドのマクドナルドの話から、カスタマイズやパーソナライズの話になった。
ソーシャルエディター津田:最近、「フィンランドのマクドナルドがZ世代の雇用を増やすため、“McDrip”という従業員限定のファッションラインを作ったらしい」というツイートがバズっているのを見かけました。調べてみると、フィンランドを拠点とする新進気鋭のストリートウエアブランド「ヴェイン(VAIN)」が、同国のマクドナルドとコラボレーション。使い古した制服をアップサイクルしたコレクションを発表し、従業員専用の制服として制作するそうです。社内の抽選で当選した、従業員にのみ提供するとのことでした。“ワークウエアを再解釈”という言い方をするとファッションショーのテーマのようですが、なんと実際ショーも開催。TikTokでライブ配信したり、Instagramのリールでも22万回も再生されていたりとバズっています。コレクションの発表自体は2022年11月ですが、日本では半年遅れで話題になりました。
このコラボレーションは、マクドナルドが人材難に苦しむファストフード業界の中で、Z世代に労働力として参加してもらうために考えた戦略でした。私もそうですが、Z世代には単に商品を購入するのではなく、ブランドに賛同したいと考えている消費者が多いと思います。そのためZ世代の多くが興味を持っている“服”と、地元で人気の新進気鋭のファッションブランドを掛け合わせ、仕事に応募することでしか得られないものとして作り、会社の一員になりたいと思わせました。現にリーチやメディアへの露出は倍増し、求人への応募も従来比63.0%と増加したそうです。ファッションを起点に他業種の話題でもバズが生まれていると嬉しくなりますね。
記者村上:ユニホームはもちろん、企業風土を感じる“お揃いファッション”って、組織の団結力を高めるためにうまく活用している企業が多いですよね。わかりやすいのは、新興IT企業が作るTシャツやキャップ、ステッカーあたりでしょうか?側から見ると「なんで企業のロゴが入ったTシャツなんて着るの?」って思いますが、その考えは、当事者になれば変わるでしょう。私も、かつて作った「ファッションニュース」と「ビューティフル ピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」のコラボキャップは今も大切に持っているし、「WWDJAPAN」のロゴ入り缶バッジは机の中に潜んでいます(笑)。
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