水色や透明感、水に濡れたようなツヤ感を生かした“クラゲメイク”が盛り上がる中、そのファッション版とも言える“クラゲルック”が登場しました。透ける半透明な生地やフィルム素材、ウォーターカラーなどで涼しげな見え具合に仕上げる新スタイリングです。ゆったりしたシルエットやひらひらとしたデザインは、クラゲ特有のイメージを醸し出します。見た目も着心地もエアリーでクールな“クラゲルック”は、蒸し暑い夏に取り入れたいスタイルです。
“クラゲルック”の持ち味は、神秘的な透け感、海のムードを帯びた色調、ふわふわのディテールなどにあります。「テルマ(TELMA)」のシアーブラウスは、布をぜいたくに使ってたっぷりの浮遊感を印象付けました。スカートも裾が透けて、軽やかなたたずまい。華やかさと半透明感を兼ね備えた、妖しい優美さを備えています。周りの気持ちまでふわふわと軽やかに弾ませてくれる“クラゲルック”は、サマーコーディネートの新たな知恵と言えそうです。今回は、国内ブランドの2023年春夏ルックから、クラゲファッションにぴったりな着こなしをご紹介します。
クラゲの半透明感をツヤ素材で演出
つやめきを帯びた装いは、今のトレンド傾向でもあります。水に濡れたような質感は、蒸し暑い時期に涼しげな印象を演出してくれます。フィルムのような透明感のある素材で全身を包んだ「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、ほのかな透け感が印象的。白で統一したトップスとパンツが、アウターとの風合いの違いを際立たせています。
水面に光が反射したようなイメージを、キラキラ素材で表現するスタイリングも登場しています。2枚目の写真「ホウガ(HOUGA)」は、キャンディーの包み紙のようなシルバー生地で仕立てたワンピースを披露。首元には、クラゲの半透明さをほうふつとさせる、シアーな付け襟風アイテムをオン。シルバーのゴージャスさと半透明のはかなげなムードが響き合うコーディネートです。
超ロングスリーブでファニーな浮遊感
クラゲの特徴といえば、長い触手やひらひらの部分。このファニーな浮遊感に通じる、長い袖をあしらった試みが相次いでいます。「ナカガミ(NAKAGAMI)」のトップスは、手首の先まで覆う超ロングスリーブ。ほんのり透けるシアーなニットに、レース仕立ての半袖を重ねて妖精ライクな風情に。スカートもシアーとメタリックを重ねて、色のトーンを絶妙にずらしました。濃淡や透け感の異なる組み合わせが、幻想的なムードを引き出しています。
トゥーマッチなほどに長い袖は、プレイフルな表情を強めます。子どもが大人の服を着たような愛らしい雰囲気が生まれるのも、超ロング袖のいいところ。2枚目写真「タン(TAN)」は、クラゲの触手のようなロング袖で、袖先を朗らかに遊ばせました。シアー素材のニットトップスにシャーベットトーンのキャミソールを重ねて、涼しげなサマーレイヤードに。ブルーやグリーンなどの寒色系と透ける素材のコンビネーションは、クラゲ感を強めます。
ウォーターカラーで脱力ムード
クラゲの水っぽさや青み、ゼリーといった特徴を生かすと、夏にふさわしいさわやかでクールな着映えに。「ラム・シェ(RUMCHE)」のエアリーなワンピースは、ウォーターカラーのグラデーションが、涼やかなメロディーを奏でるかのよう。風をはらんで裾が遊ぶ景色も、波間に漂うクラゲを思わせます。
また、クラゲの体は、奇妙な出っ張りやヒラヒラが目立ちます。潮の流れを受けて、ふわふわ、ぐにゃぐにゃと動く様子は、眺めていて飽きません。2枚目写真「ルルムウ(RURUMU)」は、フリルやレース、チュールをどっさり配して、ファンタジーさをまといました。ブルーとラベンダーが交じり合ってドリーミング。ドラマチックな着映えでありつつ、どこかクラゲ的な脱力ムードも宿しています。
日に日に暑くなる昨今、少しでも涼しげでのどかな気分を味わう上で、クラゲの知恵を借りるのは、賢い選択肢になりそう。ファッションは、自分や周りに働きかけるパワーがあるからこそ、ストレスや蒸し暑さとは無縁そうなクラゲになりきったつもりで、ゆる~く過ごしていきませんか。