毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月17日号からの抜粋です)
美濃島:入社6年目ですが、取材現場やイベントなどで活躍する同世代に出会う機会がすごく増えました。ウェブ記事として取り上げる機会はあったのですが、紙というフィジカルな媒体で残したいと思って今回の特集を企画しました。
遠藤:アンダー30はウェブ上で取り上げられていますが、紙媒体で特集することで、もっとビジネスを大きく動かしているような人たちにも届きますよね。そこに可能性を感じ、共感しました。
美濃島:どの取材も刺激的で面白かったのですが、「グラインド(GRIND)」の川田周平編集長は特に印象的でした。大学を卒業して銀行に入社して、昇格争いが「肌に合わない」と1年で辞めて出版社に入り、ストリート誌「グラインド」編集部に配属されるのですが、ファッションは好きだけれど、スケボーやヒップホップに浸ってきたわけじゃないから「ストリートって何?」という状態だったそう。でも「道がないところを進む反骨精神」と解釈したことで世界が広がり、出版社が破綻して事業譲渡された先で、ほぼ一人で「グラインド」を作り続けたんです。これぞ“ストリート”ですよね。普段聞けないようなことを深く掘って聞けるのは、こういう特集だからこそ。そしてそれを文字として残せるのは記者冥利に尽きます。
遠藤:私はエイサップ・ロッキーも訪れたという原宿の古着店「パットマーケット」にリサーチしに行ったのですが、明らかに店のテイストとは違う私に、店員さんがすごく気さくに話しかけてくれて。おしゃれな若者がたくさんいて、壁を作らず、いろんな人を巻き込める雰囲気に惹かれ、取材を依頼しました。運営している5人組を取材したのですが、「自分たちは自分たち。他と比べない」というスタンスでありながら、「周りとみんなで良くなっていきたい」というマインドもあって、新鮮でした。情報が多すぎる自分たちの世代のために「(情報をキュレートする)メディアになっていきたい」と宣言していたのが、心に残りました。
美濃島:僕も同席したかったです。 遠藤:でも、取材先をリサーチしていたら、実績を残している同世代の活躍が眩しくて、少し複雑な気持ちにも。美濃島さんはどうですか?
美濃島:僕は純粋に「おもしろ!」と思ってしまうタイプですね(笑)。次にやる時は、書き手の想いをもっと見せてもいいかもしれないですね!