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「フィオルッチ」に「フェラガモ」出身の新クリエイティブ・ディレクターが就任

「フィオルッチ(FIORUCCI)」はこのほど、新たなクリエイティブ・ディレクターとして、「フェラガモ(FERRAGAMO)」出身のフランチェスカ・ムリ(Francesca Murri)を任命した。6月に退任したダニエル・フレッチャー(Daniel Fletcher)前メンズ・アーティスティック・ディレクターの後任となるが、メンズだけでなくウィメンズやアクセサリーなど全てのカテゴリーを手掛けるという。また、フィオルッチの新たな最高経営責任者(CEO)に、OTB出身のアレッサンドロ・ピザーニ(Alessandro Pisani)が就任した。

「フィオルッチ」は、1967年にエリオ・フィオルッチ(Elio Fiorucci)がミラノで創業。ブティックでアート作品やレコード、キッチュな雑貨や食品なども販売する明るく大胆な雰囲気が話題となった。70年には「フィオルッチ」ブランドを立ち上げ、手頃な価格のデニムやTシャツ、天使モチーフのアイテムなどが人気に。米国や欧州、アジアで事業を拡大したものの、何度か経営難に陥った。2015年にフィオルッチ創業者が死去した後、伊藤忠商事の傘下であるエドウインが保有していた「フィオルッチ」を、英国でアパレル小売業を展開するスティーブン・シェーファー(Stephen Schaffer)とジェイニー・シェーファー(Janie Schaffer)が買収。17年にブランドをリローンチし、ミレニアル世代など若年層の間で注目を集めた。フレッチャー前メンズ・アーティスティック・ディレクターは、19年12月に就任し、23年6月に退任。なお、22年には、フィオルッチの少数株主だったスイスの投資家、ドナ・ベルタレリ(Dona Bertarelli)が支配株主となっている。

ムリ新クリエイティブ・ディレクターは、ビジネス特化型SNSの「リンクトイン(LinkedIn)」によると、直近では「フェラガモ」のレザーグッズ部門デザイン・ディレクターを務めていた。それ以前には、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」や「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のほか、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)」が率いていた時代の「ジバンシィ(GIVENCHY)」や、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)時代の「グッチ(GUCCI)」で経験を積んでいるという。ムリ新クリエイティブ・ディレクターによる新生「フィオルッチ」は、ミラノ・ファッション・ウイーク期間中の9月21日にプレゼンテーションを行い、15のルックを披露する。また、11月にはさまざまなカテゴリーを含む、より幅広いコレクションを発表する予定。

ピザーニ新CEOは、「ディーゼル(DIESEL)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」などを擁するOTBに14年に加わり、8年間勤務。それ以前には「ヴァレンティノ(VALENTINO)」や「バランタイン(BALLANTYNE)」のビジネス部門の役職を務めていたほか、イタリアのアパレルメーカー、シンヴ(SINV)で「ラブ モスキーノ(LOVE MOSCHINO)」や「シーバイクロエ(SEE BY CHLOE)」のマーチャンダイジングに携わっていた。

「フィオルッチ」は15年以降、ロンドンを拠点としていたが、今回オーナーが変わったことなどを機に創業の地であるミラノに戻る。ピザーニ新CEOによれば、将来的には本社機能、デザイン部門、ショールームを1カ所に集める構想があるという。一方、当面は店舗をオープンする予定はなく、ECと卸の強化に注力する計画で、英国を含む欧州と米国のほか、日本、中国、韓国における販売網の拡大を目指す。

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