百貨店が「場」を提供し、ブランドが服を並べて売る。かつて百貨店が消費のハレの舞台としての地位を保てていた時代は、それだけで共存共栄の関係を築けた。だが今や、百貨店にかつてほどの集客力はない。ブランドと膝を突き合わせて商品開発に踏み込んだり、D2Cブランドやサステナビリティといった新しい消費や価値観を提案したりと、これまでにない“掛け算”によって価値を生み出さなければ生き残れない。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月24日号からの抜粋です)
高島屋 × ジュン
ジュンは今春夏、高島屋と協業して開発した新業態「モア サロン エ ロペ(moi salon et ropé)」の展開をスタートした。5月12日に高島屋大阪店、6月7日に高島屋横浜店にそれぞれ1、2号店をオープンした。コロナ禍の中、反転攻勢の機をうかがいながら温めてきたプロジェクト。両社が膝を突き合わせて商品やイベント企画を考え、リアル店舗の価値を追求する。
「モア サロン エ ロペ」は、ジュンの主力婦人服業態「ロペ(ROPE)」と、ライフスタイル業態「サロン アダム エ ロペ(SALON ADAM ET ROPE)」のコンセプトを掛け合わせた。オリジナル商品や仕入れのアパレルに加え、コスメや食器などの雑貨を展開する。
横浜店は、元々3つのブランドが売り場を構えていた区画を広々と使った。「床面積当たりの売上高の効率を高めるという、従来の売り場のセオリーとは真逆の設計」(高島屋の嶋廻由希子・MD本部 婦人服・婦人雑貨部長)。中央にはポップアップスペースがあり、企画は月1回以上の頻度で入れ替える。6月のオープニング企画は器のブランド「ラ メゾン デ ヴォン(La Maison de Vent)」を手掛ける陶芸家、鈴木麻起子の展示会を実施した。大阪店や、今秋オープンする京都店でも、エリアごとに特色のある企画を準備する。
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