PHOTO : TAMEKI OSHIRO[/caption]
澤田太郎/社長 プロフィール
(さわだ・たろう)1960年1月17日、兵庫県生まれ。滋賀大学経済学部卒業後、83年に大丸(当時)入社。大丸神戸店で紳士服や販売促進を担当。2011年執行役員大丸神戸店長、12年同心斎橋店長、16年同経営企画室長、17年取締役兼常務執行役員を経て20年5月から現職
大丸松坂屋百貨店の澤田太郎社長は、2020年5月の就任以来、「店頭」「オンライン」「外商」という3つのタッチポイントを磨き上げてきた。リアルとデジタルの両軸のデータ分析による商品提案やマーケティングは、すでに多くの成果を上げる。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月24日号からの抜粋です)
データ活用で解像度を高め、
顧客に最適のコンテンツを提供する
WWDJAPAN(以下、WWD):コロナ下での改革の成果は何か?
澤田太郎社長(以下、澤田):3つのタッチポイントを確立できたことだ。これまで百貨店とお客さまとの接点は「店頭」しかなかった。だがコロナで店頭が満足に営業できない中、「オンライン」と「外商」に経営資源を集中した結果、この3つのタッチポイントがうまく連動するようになった。百貨店の役割を突き詰めると、左側のお客さまと右側のコンテンツ(商品やサービス)を真ん中でつなぐタッチポイントになる。店頭以外のタッチポイントが広がり、お客さまと広く、深い関係が築けるようになった。
WWD:オンラインは「大丸・松坂屋アプリ」が入り口になる。
澤田:2019年5月にスタートして、有効会員は今188万人(5月末時点)。直近1年以内に購買実績のある人が108万人とかなり稼働率が高い。アプリ以前の顧客データは、デモグラフィックな情報(性別、年齢、住所、職業、所得など)と購買履歴だけだった。購買履歴に基づき、フェアなどの案内を郵便ハガキで送る。それがオンラインだと、購買履歴だけでなく、お客さまの潜在的なニーズがつかめる。弊社のアプリ内のどの記事を何秒読んだか。フェアなどのお知らせメールを開封したか。購買実績がなくてもジュエリーへの関心が高そうだとか。それぞれのお客さまの関心事に応じて、アプリやメールで呼びかけると、高い確率で購買につながる。アマゾンや楽天では当たり前のことだろう。だが店頭しかなかった当社にとって顧客政策上、革命的な一歩だ。
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