アダストリアは7日、原宿学園 東京デザイン専門学校の生徒約20人を対象に、店舗什器の制作・設置を通じてVMDを学ぶ体験授業を東京・原宿の「ニコアンド トーキョー」で実施した。
同授業は昨年に続いての実施。同学校では、非常勤講師の小室洋介氏が受け持つ、夏季の集中講座を通じて店舗のVMD、空間設計に関する基礎知識を教えており、今回の什器制作体験はその実践の場という位置付け。アダストリアの倉地誠ニコアンド営業本部チーフディレクター・VMDが授業を受け持った。
開店前に集まった生徒たちは、樹脂素材の透明なフレームを使って什器を手際よく組み立て、廃棄衣類繊維のリサイクル素材「パネコ」で作ったアート作品を陳列した。同店では現在、アダストリアが衣装提供した映画「アイスクリームフィーバー」の関連グッズ売り場を8月末まで展開中。什器はその隣にしばらくの間展示する。昨年に引き続き参加した近藤晴奈さん(空間デザイン学科2年)は、「学校では模型を作り、生徒の前で発表するまでで終わってしまう。作った什器を実際に店に置き、(客の)反応を見たり聞いたりできるのはすごく貴重な経験」と話す。
倉地氏は、「アパレルのVMD担当は、店舗空間のコーディネートが上手な販売員が、そのセンスを買われて抜てきされることが多い。学生のころから空間デザインの基礎知識を学び、生え抜きで活躍している人材は意外と少ない」と述べる。自身は10年近く前から、服飾やデザインを学ぶ専門学生に向けてVMD講座を開くなど教育活動を草の根的に続けてきたが、昨年企業として正式な取り組みをスタートさせた。「早いうちから専門知識をつけた若手が活躍することは、アパレル業界全体のためになる。地道に土壌を作っていきたい」。