8月11日に日本でも公開される話題の映画「バービー(Barbie)」。もちろんその主役は、1959年にマテル(MATTEL)が発売した世界的ファッションドールの「バービー」だ。ティーンファッションモデルとして登場し、“キャリアをスタート”した彼女は、ファッションや医学、飲食、俳優、メディアさらには軍事などさまざまな業界の仕事を通して、時代変化に合わせたスタイルを見せてきた。社会規範が変化し始めた60年代には、女性解放の象徴的存在となり、小さな女の子たちは人形として遊ぶだけでなく、バービーを通して自分のキャリアへの願望を表現するようになった。
作中でも、イッサ・レイ(Issa Rae)が“大統領バービー”を、エマ・マッキー(Emma Mackey)が“ノーベル物理学賞受賞バービー”をそれぞれ演じている。さまざまな顔を持つ「バービー」の魅力を探るべく、女性の職業の変革にもスポットを当ててきた彼女の遍歴を振り返る。
“宇宙飛行士バービー”
宇宙飛行士のニール・アームストロング(Neil Armstrong)とバズ・オルドリン(Buzz Aldrin)が世界で初めて月面に降り立つ4年前に、「バービー」はスタイリッシュなシルバーのジャンプスーツで宇宙へ飛び立っていた。NASAの宇宙飛行士団に女性が加わったのは、それから10年以上あとの78年のことだった。「バービー」にとっては小さな一歩であったが、女性にとっての大きなステップアップを意味した。
“エグゼクティブ バービー”
女性が重役会議に参加するようになる前に、「バービー」はビジネス界の重役になっていた。1985年に発表された“デイ トゥ ナイト”は、トレンドだったスカートスーツとパーティードレスの2種類のスタイルを付属し、フルタイムで働きながらキャリアとソーシャルライフを両立できる姿を見せた。
“大統領バービー”
1999年、マテルは大統領候補バージョンの「バービー」を発売した。「バービーを大統領に」と書かれた選挙運動の看板とステッカーを掲げた姿が話題になった。
ちょっと変わった「バービー」の職業編
“猫泥棒”
2010年には、「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」とのコラボレーションで、3種類の限定人形を発売。その中の一つが、一風変わった“猫泥棒”バージョン。パテントレザーのボディースーツにゴールドのパンプスで武装した「バービー」は、まるで「ルブタン」の店舗に盗みに入ったかのような設定だ。
“ファッショントレンド予報士”
「バービー」はファッションの分野で、デザイナーやエディター、スタイリストとして登場してきたが、ファッショントレンドの予報士はおそらく最もニッチなキャリアだろう。レザーのトレンチコートにチョーカー、メリージェーンを身につけた“ファッショントレンド予報士”バービーは、当時の洗練されたスタイルを象徴している。
“ジラルー(牧場主)”
1993年には、オーストラリアの俗語で“ジラルー(jilaroo)”と呼ばれる、女性牧場主に。あまり牧場主らしくない衣装だが、彼女が着れば、どんな作業服も「バービー」らしいシックなスタイルに変身する。
そのほかの「バービー」の職業としては、以下のようなものがある。俳優、アーティスト、ベビーシッター、バレリーナ、バリスタ、レジ係、シェフ、ダンサー、歯科医、医師、起業家、農家、映画ディレクター、フローリスト、ゲームショーのホスト、インテリアデザイナー、メイクアップアーティスト、ミュージシャン、ニュースキャスター、看護師、トリマー、フォトグラファー、ラッパー、秘書、歌手、外科医、教師、ユニセフ(UNICEF)アンバサダー、アメリカ空軍のパイロット、アメリカ陸軍オフィサー、獣医、ウェイトレス、ヨガのインストラクター。