インスタグラムやフェイスブックを運営するメタ(META)がこのほどローンチした新SNSアプリ「スレッズ(Threads)」に、米国のビューティブランドやインフルエンサーらが続々参入している。スレッズはツイッター同様、テキストをベースとするSNSプラットフォームで、500文字までのテキストや写真、5分未満の動画投稿に加え、リポストが可能。またインスタグラムと連携しており、インスタグラムのフォローリストと同期させることもできる。
米ビューティ業界ではコーセーが欧米で展開するメイクアップブランド「タルト(TARTE)」やスキンケアブランドの「ミルク メイクアップ(MILK MAKEUP)」、LVMH傘下の「ベネフィット コスメティクス(BENEFIT COSMETICS)、米小売店セフォラ(SEPHORA)、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)などがアカウントを開設。さらにメイクアップアーティストのボビイ・ブラウン(Bobbi Brown)やインフルエンサーのデジ・パーキンス(Desi Perkins)、モネ・マクマイケル(Monet McMichael)らもアカウントを立ち上げている。
ツイッターは、昨年10月に起業家のイーロン・マスク(Elon Musk)が買収し、従業員の大量解雇や突然の閲覧制限による混乱もあり、スレッズへの移行者が急増していると見られる。クリーンビューティブランド「タワー28(TOWER 28)」のエイミー・リュー(Amy Liu)CEOは、「人々はかつてのツイッターにあった平穏さを取り戻したいと考えているのだろう。スレッズの登場は明るいニュースで、ツイッターで起きている混乱をリセットしてくれるものだ」と話す。
アルタ ビューティは開設2日で19万以上のフォロワー獲得
米小売店のアルタ ビューティ(ULTA BEAUTY)は、開設2日目で19万人以上のフォロワーを獲得した。同社のクリスティン・ホワイト(Christine White)=ソーシャルメディア担当シニアディレクターは、「スレッズはすでに知っている人でいっぱいのパーティに参加するようなもの。個性を発揮できるツイッターは今でもわれわれにとって重要なプラットフォームだが、インスタグラムと容易に連携できるスレッズの登場により、元々のフォロワーたちとの新たなコミュニティー形成を探ることができている。今後ユーザーの動向を探るために重要なツールになるだろう」と話す。また、スキンケアブランド「サマー フライデー(SUMMER FRIDAYS)」のマリアンナ・ヒューイット(Marianna Hewitt)=共同創設者は、「アプリ間でシームレスに投稿を共有できるのは、われわれのソーシャルメディアチームにとっても非常に効率的だ」と説明する。
美容トレンド予測会社スペート(SPATE)の共同設立者であるヤーデン・ホルヴィッツ(Yarden Horwitz)もまた、スレッズが美容コミュニティー内で飛躍するとみている。「スレッズは10年以上にわたってクリエイターやブランドに愛されてきたインスタグラムを基盤としているため、美容関係者にとって移行はそれほど怖いものではない。テキストベースのプラットフォームのもう一つの利点は、クリエイティブの予算とリードタイムが大幅に少ないことだ」と指摘する。「美容は本質的に視覚的なものだが、テキストベースの会話は依然として必要とされている」と続けた。
「X」より安全な空間づくりができる?
テクスチャードヘアケアブランドの「アウアエックス(OURX)」のメーガン・モウピン(Meghan Maupin)最高経営責任者(CEO)は、「私たちのターゲット層の多くはツイッターを利用していない。特にクセやカールの強い髪を持つ消費者がスレッズのような新しいプラットフォームで、髪やその他の文化的なトピックについて議論できる安全な空間を作ることを心がけている」と話した。
TikTokのフォロワー数は30万人を超え、実験的なメイクで知られるビューティ・クリエイターのジョシュア・スペックス(Joshua Specks)は、X(旧ツイッター)よりスレッズの方が友好的な議論ができる可能性があるという意見に賛同した。「インスタグラムよりもツイッターの方が批判的なフォロワーが多い。インスタグラムにアップした動画が拡散されツイッターに上がるとヘイトを集めやすい傾向がある」と語った。さらに、「スレッズは、TikTokのリラックスしたコンテンツとインスタグラムの美的感覚を刺激するコンテンツを融合することで浸透させられる。スレッズの登場はピンタレストやインスタグラム、TikTokなどあらゆるアプリを1つにまとめる絶好の機会だ」と付け加えた。