ここ数年、クリアのスマホケースにステッカーを挟んでデコレーションするスタイルが、若い世代を中心に定番になっています。26歳の私の体感でいうと、周囲の友人の半数弱ほどが取り入れている気がします。しかも、スマホケースという限られたスペースがキャンバスなので、そのステッカーは選び抜かれた精鋭たち! みんな特別な愛着のあるステッカーを選んでいます。
そこで今回は、「フジロックフェスティバル 2023(FUJI ROCK FESTIVAL)」や「サマーソニック 2023(SUMMER SONIC)」でのファッションスナップと併せて、来場者のスマホをチェック。スマホケースをどのようにデコレーションしているのか、また入れているステッカーはどこのものなのか調査しました。
好きなものやコミュニティーなど
精神的なつながりを重視
ステッカーは、やはりみんな自分の思い入れが深いシーンやカルチャーに由来するものを取り入れています。話を聞くと、「ルー・リード(Lou Reed)のアルバムのジャケット」「尾形光琳の日本画“燕子花絵図”」「“つのつの”の個展で買ったステッカー」「『ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)』のノベルティー」など、さまざまな時代や分野の作り手、ブランドの名前が挙がりました。古くは1980年代に、若者の間で透明な下敷きにお気に入りのアイドルの切り抜きを入れるのが流行していたそうですが、それとほとんど同じ感覚なのかもしれません。ステッカーから持ち主が共感している世界を垣間見ることができるので、会社や学校で趣味の合う仲間が見つかりやすくなりそうです。
一方で、ビッグネームに由来するものでなく、コミュニティーに根差したものを取り入れている人も結構な割合でいました。ひと目見て、出自が分からないステッカーについて聞いてみると、「タトゥーアーティストの友だちがお客さんに記念で渡しているもの」「知人が出版した本のラベル」「仕事で付き合いがあるブランドのもの」「友だちが企画したイベントの入場券」など、親しい間柄の人からもらったものであるケースが多かったです。「自分のバンドで作った」と答えた人もいました。
なるほど、みんなのスマホケースが友人・知人の事業の広告枠のような働きもするわけですね。オリジナルステッカーもリーズナブルに作れる現代、ステッカーを作って配れば、どこかで「何それ?」と話題になって、宣伝効果があるかもしれません。
「ケースティファイ」や「ストリング ティング」も人気
スマホケースにも注目しました。クリアのスマホケースは使っているうちに汚れや黄ばみが目立ってきてしまうので、買い換える前提なのか、ノーブランドの安価なものが人気のよう。ブランドだと、カメラを囲うように入ったロゴがかわいい「ケースティファイ(CASETIFY)」のケースが目につきました。
そのほか、デュア・リパ(Dua Lipa)やジジ・ハディッド(Gigi Hadid)、BLACKPINKのメンバーらが愛用していたことで人気に火がついた、ロンドン発のハンドメードストラップメーカー「ストリング ティング(STRING TING)」のストラップも、バリエーション豊富に見かけました。インパクトのあるストラップなら、アクセサリーのようにコーディネートのポイントにもなりますね。
まとめ
どんなステッカーにしても、そのバックグラウンドを答えられなかった人がいなかったのが印象的でした。また、話を聞くと、ステッカーはデザインだけでなく、特に精神的なつながりを重視して選ばれていました。長い時間をともにするスマホは、個人情報だけでなくアイデンティティーも凝縮された精神に近いものなので、気持ち的にしっくり来ることも大事な要素なのかもしれません。
また、ステッカーについて話を聞いていると、私も行ったイベントのものだと分かって話が弾んだり、その人の普段の仕事の話題に話が広がったりして、ステッカーがコミュニケーションのきっかけになってくれると感じました。今日から、ビジネスシーンでの雑談に困ったら、天気ではなくスマホケースに注目してください。ステッカーに突っ込んで聞いてみたら、思わぬ一面や共通点が見つかるかも。