ノルベール・ルレ/LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン社長 プロフィール
フランス生まれ。1981年来日して上智大学に入学。その後再来日し、フランス大使館勤務を経て帰国。キャンピングガスジャポンを経て、LVMHに入社。97年に再度来日してケンゾー・ジャパンのマネジング・ディレクターや社長を経て、2003年にアシェット婦人画報社(現在のハースト婦人画報社)の社長に就任。06年ザラ・ジャパン取締役兼最高経営責任者を経て、16年から現職
諸外国同様に順風満帆に見える日本市場について、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)はどのように捉えているのだろうか?そこで、同社日本法人のノルベール・ルレ(Norbert Leuret)社長に話を聞いた。長引く経済の停滞や円安、地政学的なリスクの増大でネガティブな未来予想が広がる中、ルレ社長の日本市場の捉え方は驚くほどポジティブ。従業員を筆頭とするさまざまなステークホルダーとのネットワークや、確固たるラグジュアリー論にも注目だ。(この記事は「WWDJAPAN」2023年8月28日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
WWDJAPAN(以下、WWD):本国では好業績の決算が続き、日本も全般的に好調でライバルとの差を広げている印象だ。現状を一言で、どう表現する?その言葉の意味は?
ノルベール・ルレLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン社長(以下、ルレ社長):「日本には今、チャンス(ルレ社長はOpportunityと表現)しかない」。概要をまとめれば、こんな表現になるだろう。都市圏の百貨店は富裕層から若年層まで新客を獲得している。その中で好業績を残せば、(伊勢丹新宿本店の1階にコスメのほか、フレグランスに特化したスペースをオープンして拡張するビューティの)「ディオール(DIOR)」のように、チャンスしかない館でさらなるチャンスが手に入る。銀座や表参道、大阪・心斎橋、名古屋、福岡などの街は、「NSB(Never Seen Before)」。日本で暮らして30年になる私でも、「今までに見たことがない」進化を遂げている。三井不動産やヒューリック、三菱地所などによる街の再開発も加速し、チャンスは百貨店以外の場所にも転がっている。日本人はラグジュアリーへの興味や関心が高く、日本のメディアはその魅力を正しく伝え、実際ちゃんと読まれている。人生をエンジョイするシニアの家やバッグの中にはお金がたくさん眠っており、サステナビリティに関心を寄せる世代には4万、5万円のものを頻繁に買うくらいなら10万円で買ったものを長く使いたいという考えが広がってきた。働く女性は、新たな価値観やマーケットを創出。皆が日本の魅力を再発見しており、それが外国人観光客を呼び寄せている。
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