ブラジルの化粧品会社ナチュラ&コー(NATURA & CO)はこのほど、イギリス発の自然派化粧品ブランド「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」の売却を検討していると発表した。4月、ザボディショップインターナショナル(THE BODY SHOP INTERNATIONAL)の最高経営責任者(CEO)を5年半務めたデイビッド・ボイントン(David Boynton)が突然退任。暫定の後任として、取締役会のメンバーで「コーチ(COACH)」の社長も務めたイアン・ビックリー(Ian Bickly)が就任し、黒字化に向けて事業計画の練り直しを図っていた。
ボイントン前CEOは、ナチュラ&コーが仏化粧品大手ロレアル(L’OREAL)から「ザボディショップ」を買収した2017年から指揮を執ってきた。同ブランドを1976年に創業したアニータ・ロディック(Anita Roddick)が推進した、自然な原料による商品開発や非動物実験、女性のエンパワーメントなど、業界のゲームチェンジャーとしてのDNAに原点回帰する重要なビジネス転換を率いた。
ナチュラ&コーは16年に豪高級スキンケアブランド「イソップ(AESOP)」、17年に「ザボディショップ」を次々と買収。19年に、イギリスに本社を置くスキンケア直販大手「エイボン(AVON)」も傘下に収め世界有数のビューティ企業グループに拡大していた。しかし、22年度は4四半期連続で赤字を計上。4月には、「イソップ」をロレアルに売却する契約に合意したと発表した。取引額は25億ドル(約3650億円)以上に上るとみられ、8月30日(現地時間)に取引が完了したことを発表した。「イソップ」の売却は、債務負担を下げることを目的とした黒字化計画の一環で、「ザボディショップ」を売却すれば、この動きが加速することになる。