2024年春夏ミラノ・コレクションは、ニュースが満載だ。最大のニュースは、4人の新デザイナーによるファースト・コレクション。前任アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)時代のインスタグラムを全て消去してまでイメージ刷新を図った「グッチ(GUCCI)」を筆頭に、四半世紀にわたる右腕が創業デザイナーへの全幅のリスペクトを表して継続路線を打ち出した「トム フォード(TOM FORD)」、わずか2シーズンのデザイナー交代が象徴する混乱期からの脱却を目指す「バリー(BALLY)」、そして初のクリエイティブ・ディレクターの起用で個性の確立を狙う「ファビアナ フィリッピ(FABIANA FILIPPI)」が歴史の新たな1ページを刻んだ。新デザイナーのコメントを交えながら、四者四様のコレクションを紐解く。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月9日号からの抜粋からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
グッチ
装飾をそぎ落とし、アイコンと
赤を「もう一度」強く押し出す
前任デザイナーの装飾主義から離れることで、もう一度「『グッチ』らしさ」の確立を目指した。新クリエイティブ・ディレクターのサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)が考える「らしさ」とは、通称「アンコーラ(『もう一度』の意味)レッド」や“ジャッキー”バッグ、デイウエア、そして「GG」のモチーフや“ウェブ”ストライプなど1950〜60年代の「グッチ」と、トム・フォード(Tom Ford)がけん引した官能性など90年代の「グッチ」。ボルドーに近い深い赤の「アンコーラ レッド」は、ファーストルックの“ジャッキー”バッグを筆頭に超厚底の“ホースビット”ローファー、「GG」のモチーフをエンボスしたパテント加工のレザーアイテムなどに採用。90年代のエロスとは非なるものだが、深いスリットやVゾーン、チューブトップやブラトップ、ブラックレースと切り返したサテンのペチコート、何より徹頭徹尾のマイクロミニ丈で健康的な官能性を発信した。ランウエイに先駆けて復活を発表した、海とヨットの世界にインスピレーションを得た“マリナチェーン”の大ぶりのジュエリーを合わせる。正直、洋服自体はセンセーショナルとは程遠い。だからこそ洋服作りに真正面から向き合い、普遍的なアイテムを現代的なシルエットとスタイリングで新鮮に見せる方向にかじを切った。ウエアラブルな洋服でファンを拡大し、再び成長軌道にのることを図る。
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