合同展示会「ファッションワールド 東京(FaW TOKYO)2023 秋」が10月10日に、東京ビッグサイト・東展示棟で開幕した。出展社数は昨年から400社増え、約1150社だった。目玉の「サステナブルファッションEXPO」ブースには、昨年から微減の約200社が出展。今回から新たに健康や美容にまつわる「ウェルネスファッションEXPO」ブースを隣に設けることで、課題だったサスナビリティの解釈の多様化を整理する工夫も見られた。
「サステナブルファッションEXPO」の傾向として際立ったのは、皮革産業関連企業の増加だ。“アップルレザー”や“サボテンレザー”などの代替え素材の打ち出しも目立つが、共通して聞かれたのは「サステナビリティの流れでレザーへの懸念が広まっていることから、レザーの需要と魅力をあらためて強調したい」という声だ。
春展に続き2回目の出展となった経済産業省の「JAPAN LEATHER SHOWROOM」はブース内で、畜産から出る皮を革製品に使うことで廃棄や焼却を減らすことができ、結果として脱炭素につながるといった革製品のアピールポイントを大きく掲示した。製造工程における安全性や環境対策などを厳格な基準で審査するレザーワーキンググループ(LWG)認証を国内で2番目に取得した山陽レザーや、伊藤園と協業し緑茶飲料の製造時に排出される茶殻を染色剤に活用した富田興業の「レッザボタニカ(LEZZA BOTANICA)」、老舗靴工場インターナショナルシューズのオリジナルブランドで、ソールのリペアサービスを打ち出す「ブライトウエイ(BRIGHTWAY)」など、事前審査に通過した16ブランドを紹介した。
初出展の「タンニングプライド」は2022年末に発足した新たな認証団体だ。兵庫県姫路市・高木を拠点に6社の加盟タンナーで構成する。NFTを活用し、「タンニングプライド」認証レザーを使用した製品に付属するQRを読み込むと製造元のタンナーまで辿ることができる。主宰の中島勇ユニタスファーイースト社長は、「これまでレザーは問屋を介して販売していたために、タンナーは自分たちのレザーがどのように使われているのか知ることができなかった。タンナー自らが売る力をつけることで、ショップと直接のつながりができたり、メンテナンスの方法を消費者に伝えたりとコミュニティー形成につなげたいと思った」と発足背景を語る。また、レザーの代替え品の開発がブームになっていることについて、「たとえば有害な6価クロムを使用していたのは4,50年前の話。現在は適切な処理でほとんど環境に負荷を与えないなめし剤が使われている。そうした誤解を解き、本来のレザーの素材としての価値を伝えたい」と話す。
繊維循環の取り組みは異業種との連携に広がる
前回に続き、繊維循環の取り組みはキートピックだ。菊池孝宏・事務局長は、「各社の方向性として、長期的に循環型経済に取り組む企業が増えた」といい、今回から新たに「繊維の資源循環フェア」と題した区画をもうけた。「協業先もアパレルに限らず、多岐に広がっているようだ。来場者の属性もインテリアや宿泊施設などのレジャー関連と広がっている。次回は、そうした異業種に向けた打ち出しを強化したい」と話す。
繊維to繊維以外のソリューションを見せたのは、テキスタイルメーカーやまぎんの子会社バイオテックワークスエイチツーだ。同社は、専用のプラントでガス化という手法を用いて、廃棄衣料から水素を抽出し再生可能エネルギー源として活用する仕組みを提案する。実際の稼働は2025年を予定する。西川明秀代表取締役CEOは、「衣類回収に取り組むなかでも、繊維への再利用のハードルの高さがが見えている企業にぜひ見てもらいたい」と話す。
ロフトやイオンと資源循環に取り組むビーピーラボ(BPLab)は、複数の協業先と合同で展示することで回収した先の活用の幅の広さを見せた。今年9月からはリユース大手、ブックオフとの協業も開始した。これまで繊維製品の回収スキームでは取り扱うことができなかったバッグやシューズといった革製品、雑貨などの回収をはじめ、回収したあとはブックオフのマレーシア店舗などで再販する。
素材面では、旭化成アドバンスが環境配慮型素材群「エコセンサー」として初めて単独出店した。「エコセンサー」はリサイクル糸やオーガニックコットンなどの原材料かつ、完全にトレーサブルなサプライチェーンで第三者認証取得済の製造工程で製造した素材のみを集積したブランドだ。なかでも今回は、海洋生分解性の特徴を持つ「ベンベルグ」、リサイクルポリウレタンの「ロイカEF」、非フッ素撥水加工に焦点を当てて紹介した。担当者は、「4年前にスタートし、既存のお客さまに向けた内見会ベースで訴求していたが、これを機に川下の人たちからの認知を広げたい」と話す。