松屋の2023年3〜8月期連結業績は、総額売上高が前年同期比39.6%増の539億円、営業損益が8億8700万円の黒字(前年同期は8億4500万円の赤字)、純利益が同71.8%減の10億円だった。インバウンド(訪日客)が急速に回復し、免税売上高はコロナ前の19年を39%も上回った。前年に固定資産売却益を計上したため、純利益は反動減になった。
売上高の9割近くを占める銀座本店の総額売上高が、前年同期比45.3%増の477億円になった。上期としては過去最高を更新した。外商など国内の富裕層に加えて、訪日客が急回復し、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など高額品を買い求めた。
銀座本店では売上高に占める免税売上高の割合が約3割。コロナ前の19年に対し、国内客の売上高は21%増、海外客は39%増だった。19年は免税売上高に占める中国の割合が81%を占めたが、今上期は47%に低下。台湾、香港、米国、韓国などのシェアが拡大した。米国の割合は6%で、韓国を上回った。「これまでアメリカ人のお客さまは観光が中心で、百貨店であまり買い物をしなかったが、急激な円安で財布のひもが緩んだ」(大高壽美代・執行役員MD戦略室長)。
銀座本店の特徴は、百貨店業界の商品分類でいう「身の回り品(バッグ、シューズ、革小物など)」の売り上げ構成が高いこと。ラグジュアリーブランドの商品の多くがここに含まれる。百貨店業界の平均が15%であるのに対し、銀座本店は40.6%(前年同期は30.7%)ある。立地柄、高額品を求める客が多く訪れるため、ブランド側もよく売れる同店によい商品を回す。また銀座に路面店を構える20ブランドと連携し、外商顧客を送客するサービスも奏功している。