高島屋は2023年3〜8月期、営業利益が前年同期比62.4%増の208億円となり、過去最高を更新した。24年2月期通期においても営業利益(440億円)、純利益(295億円)は過去最高を予想する。インバウンド回復の追い風は大きく、通期の免税売上高は580億円を計画。これも19年2月期の547億円を上回って過去最高となる見込みだ。だが村田善郎社長は、インバウンドや富裕層の高額品バブルに支えられる足下の状況が長くは続かないと見て、「百貨店の本業(衣料品)の力を高めていきたい」と話す。 ラグジュアリーブランドなどよりも利益率の高い衣料品を強化することで、中長期的な目線で収益基盤の強化を進める。「取引先メーカーとの協業を深めることで、顧客ニーズを捉えた商品開発ができてきた。プロパー(正価)で売り切れる売り場を作っていきたい」。すでに成果は出ている。3〜 8月期において、国内客の衣料品の売上高は前年同期比7%増。高額品(同3%増)を上回る伸長率だった。 取引先メーカーとの協業による商品・売り場開発の先行事例では、ジュンと組んだ「モア サロン エ ロペ」がある。今年5月に高島屋大阪店に1号店を、6月に高島屋横浜店に2号店を出店した。両社のMD担当者やバイヤーが定期的に顔を合わせ、意見交換しながら商品開発をしている。今秋からは従来品より価格・品質を引き上げた商品を導入し、目の肥えた層にアプローチしている。 また「サロン ル シック」など自主編集売り場の魅力化を主眼に、昨年から若手バイヤーを積極的に海外出張させるなどし、育成を進めている。「すぐに効果が出るものではないが、5年、10年と腰を据えて取り組んでいきたい」と村田社長。
取引先メーカーとの協業深化
顧客ニーズを捉えたモノ作り