デイトナ・インターナショナルはSDGs活動の一環で、長野県の耕作放棄地の再生に取り組む。10月6日には、長野県・須坂市の耕作放棄地で栽培したトウモロコシの収穫祭を開催した。昨年に続く2回目となる今回は、元E-girlsで農業の魅力を発信するタレントの武藤千春をゲストに招き、長野県内や東京都内の複数の大学から学生約35人や地元の保育園児らも参加した。イベントを通して耕作放棄地の解消にとどまらず、若い世代の農業への関心を高めることも狙いだ。
長野県では農家の減少に伴い農地が放置された状態の耕作放棄地が増加し、獣害や病虫などの発生が問題となっている。デイトナ・インターナショナルは過去にも⿅⾁を使ったカレー⽸詰「ジビエフリーク」を企画するなど、同地の課題解決に携わってきた。2022年には、再生可能エネルギー事業「みんな電力」を手掛けるUPDATERと協業し再生可能エネルギー「フリークス電気」の販売を始めた。「フリークス電気」に申し込むと長野県の発電所「TS」の太陽光発電に切り替えることができるというもので、毎月の電気料金のうち100円が耕作放棄地の再生活動に取り組むNPO法人「シナノソイル」に寄付される仕組みだ。
開墾した畑では、ポップコーン品種のトウモロコシを栽培。収穫したトウモロコシは、オリジナルのポップコーン商品「爆裂-シナノポップ」に、虫食いなどで商品化できなかったものは、クラフトビール「爽快電撃ビア」として「フリークスストア」長野店などで販売している。昨年は松代で実施し、今回は場所を変えて須坂市の約1983平方メートルの畑を活用し、3150本のトウモロコシを収穫した。
収穫後は出来立てのポップコーンを味わう
収穫祭では、トウモロコシの収穫を体験したのち、芯から実を外してその場でポップコーンにして味わった。参加した信州大学の学生は、「友達に誘われて参加した。農業は遠い存在で、普段は農地に訪れる機会もなかなかない。ファッションをきっかけに知ることができてよかった」とコメント。また農業大学の学生は、「授業で耕作放棄地について触れることはあっても、実際にどんな取り組みができるかは知らなかったので、今回とても学びになった」と感想を述べた。
須坂市地域おこし協力隊で同畑を管理する村田健児さんは、「ファッション業界からこのようなアクションを起こしてくれることで、農業に触れたことのない人を巻き込むことができる。レジャーやエンターテインメントの文脈にも広がり、関係人口が増えることがうれしい」とコメントした。
地域に根付いた店舗から生まれるSDGs活動
現在「フリークスストア」は全国に約50店舗構える。各地で地元アーティストを招いたイベント開催や商品企画など、地域に根付いた店舗運営を続けきた。そうして築いたコミュニティーがベースとなり、地元の課題解決およびSDGs活動へと発展している。「フリークス電気」のプロジェクトも、長野店の店長の発案で始まったもの。清宮雄樹・執行役員ブランディング本部部長は、「始める前はこれが何か形になるんだろうかという思いで進めてきたが、これだけの多くの人が集まってくださり続けて良かったと思う。その時に一歩踏み出した私たちのように、参加者の皆さんが今日の体験から気付きを得て次の一歩につなげてほしい。来年はさらに規模を拡大して取り組みたい」と話した。同社はこのほかに静岡県でも未利用魚を活用した商品開発などを手掛けており、地域のSDGs活動にまつわる商品企画を広げている。