ファッション
連載 ファッション&ビューティパトロール 第22回

あの頃があって今がある! “スポーツマン”業界人の栄光への架橋

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体を動かすのが心地いい季節。そう、秋といえば「スポーツ」です。皆さんは、スポーツといえば何を思い浮かべますか?僕はテニス。というのも中学時代はソフトテニス部のガチ勢でした。その後、ブランク20年以上……。だけど、当時鍛えた強靭なメンタルで、今もなんとか業界で生き残っています。そんな人はいないかな?と探したところ、9人の元スポーツガチ勢を見つけました。というわけで、いくつもの日々を越えて辿り着いたファッション・ビューティ業界――その栄光の架橋を聞きます。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月23日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

ファッション、ゲーム、音楽界を突く
世界を知る元フェンシング王者

須田貴行/自営業、プレス・ディレクター

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

フェンシング。全国高等学校総合体育大会(インターハイ)優勝、JOCジュニアオリンピックカップ優勝、U-17、U-20日本代表(世界大会出場)、全日本学生選手権大会(インカレ)団体優勝、アテネオリンピック強化指定選手。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

マイナー競技なので、よく始めたきっかけを聞かれるのですが、父親がフェンシングの元全日本チャンピオンで日本代表でした。なので小学校4年生から半ば強制的にやらされていて全然楽しくなかったのですが、ある日「試合に勝ったらゲームボーイのソフトを買ってあげる」と言われ、ソフト欲しさにめちゃくちゃ真剣に練習するようになりました(笑)。その後、どんな試合でも優勝したらゲームソフトを買ってもらえるようになり、沢山試合に出場し経験を積んで気づいたら小学校6年生の時に全国大会優勝できるくらい強くなってました。全国大会優勝は市や県大会に比べて周囲の反響が大きく、勝つことの楽しさや喜びを心から味わいました。その後、中学、高校、大学までトータル13年間フェンシング競技を続けました。

Q.引退理由。

大学3年生のときにナショナルチーム((日本代表)の選考大会で負けてオリンピックの切符を失ってしまい、周りが丁度就職活動中で5年後の次のオリンピックを目指すか就職するかの選択を迫られました。将来的にフェンシング部のある高校で教師をしながら競技を続けようと思っていたので教職単位も取っていたのですが、帰省した際に父親に相談したら「もう十分だから好きな事すれば?」と言ってくれて、新しい道へ進む事を決意しました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

生きている内に”日本一”に慣れた事ですね。「なんでも日本一になる事はすごいよ」とNIGO®さんに言われたときは本当に嬉しかったです。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

体育会の規律が厳しかったので、挨拶や時間、ルール(約束)を守るなど基本的な礼儀が出来たことですかね。あとは、上司や先輩の機嫌を察する早さとか(笑)。

Q.当時の自分へのメッセージ。

大好きなスポーツ、ファッション、ゲーム、音楽が全て仕事に繋がります。周りに流されず、自分の好きな事をそのまま夢中で行い、家族、友達を大切にしてください。

伝統のヘアスタイル“藤村カット”で
新体操からファッションにバトンを繋ぐ

河原井美幸/会社員

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

新体操。インターハイ準優勝、国民体育大会3位入賞、全日本選手権5位入賞

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

3歳から中学3年までは地元のクラブチーム。高校は新体操で有名な藤村女子高校の新体操部でキャプテンをしていました。藤村の歴代続く謎の伝統はショートカットで、通称“藤村カット”と呼ばれていました。新体操とショートカットの関係性がハテナ???のまま。あれだけは未だに謎です。

Q.引退理由。

競技人生が短いスポーツでもあり、高校3年までと決めていました。それと、高校まで新体操一色だったこともあり、一般的な学生ライフを送れるのも大学が最後だなと思っていたので。高校で燃え尽きていい選択でした!

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

私の人柄全てを作り上げたといっても過言ではないです。素で体育会気質、チームワークや協調性、上下関係、礼儀、時間やルール、場のノリ、タフさなどなど。また、勝負の世界を経験できたこと、挫折を乗り越えた経験は大きいです。そのお陰か、自分よりも歳上の先輩方から、無条件に気に入ってもらえることも多いな〜と思います。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

必殺体育会気質。ファッション業界とスポーツの世界、このチャキチャキ感はイコールでした(笑)。

Q.当時の自分へのメッセージ。

飽きっぽい私が唯一続いた新体操。そしてファッション。社会人になって褒められることが沢山あるよ〜ありがとう!と、当時頑張る自分を励ましたいです。

ベイクル山笑ふで働く元力士
新しい挑戦、出合いにハッキヨイ

椎葉巨樹/しゃぶしゃぶ 山笑ふ 表参道店 店長

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

大相撲力士として16年間、日本相撲協会に所属 最高位十両5枚目

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

新弟子時代は早朝4時台に起きてすぐの稽古から、関取衆(番付上位の力士)の世話をして、部屋の用事をして、やっと1日の初めての食事が夕方になりました。最初はすぐに20キロ痩せてしまって大変な世界に足を踏み入れてしまったと思ったことを覚えています。

Q.引退理由。

本場所の取り組みで前十字靭帯を断裂したため

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

現役時代は、毎朝の激しい稽古で心身共に鍛錬されました。そのため、引退後はいい意味で「疲れる」「しんどい」と感じることが無くなりました。増量の為に食事をする必要もないのでご飯も美味しく楽しい!続けているトレーニングも楽しい!相撲界在籍16年間で培ったのは忍耐力。引退後の人生は現在の仕事も含めすべてが新しい挑戦。新しい出会いも仕事での達成感も失敗も楽しいです。

Q.当時の自分へのメッセージ。

9割ツライ事しかないけど、キツイ日々も懐かしく思うときがくるから、限りある時間を大切に頑張ってほしい!引退後の第二の人生の方がもっと長くて楽しいからー!と伝えたい!

※「しゃぶしゃぶ 山笑ふ」は、匠の技を集結させた拘りの空間で、厳選された産地の肉と、旬の野菜を“一人一鍋”で楽しむしゃぶしゃぶ専門店

“野球”のファッションブランドを
立ち上げた元甲子園球児

川村健一/「ケボズ」オーナー

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

野球。甲子園出場

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

夏の大会2週間前に“ピーク”という恐怖の練習があり、ひたすらノックやバッティングを続けるのですが、2日連続で仲間が救急車に運ばれました(翌年から廃止になりました)。

Q.引退理由。

大学野球も少しだけやっていましたが、遊びとバイトに熱中して引退しました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

礼儀、忍耐力、向上心。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

自己を犠牲にする送りバントの精神。思いやりをもったキャッチボール。

Q.当時の自分へのメッセージ。

あっという間だから全力で青春してほしい!

スポーツや格闘技の演技はお任せ
本物の動きで圧倒する俳優・モデル

新岡潤/俳優、モデル

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

能代工業高校バスケットボール部。インターハイ、国体優勝。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

超名門だったので、厳しい練習に加え1年生時には厳しく激しいルールや上下関係がありました。たぶん1年生の1年はまともに寝れてなかったです。今となっては笑い話ばかりですが、公に言えないことばかりです(笑)。2年生からマネージャーをしていたのですが、1年生時の東北大会の試合中、「新岡!スクリーン!」って指示を「新岡!スリー!」と聞き間違えて、3Pシュートを放った瞬間、交代させられました(笑)。

Q.引退理由。

どこから引退と呼べば良いかわかりませんが、高校卒業後も拓殖大学とB.LEAGUE アルバルク東京でマネージャーを務めました。16-17シーズンに退団したのをバスケ引退とするのであれば、学生のときからファッションに興味があって、当時のバスケット業界において、もっとファッションとリンクがあって欲しいとずっと思っていたので、僕がファッションやカルチャーを語る上で説得力をつけるために辞めました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

自分に妥協なく継続し続けられるところですかね。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

バスケはもちろん、格闘技、ランニング、トレーニングも継続してやっているので、身体能力が必須の撮影には重宝してると思います。多分、他の人より真剣に取り組んできたので、俳優やモデルの業界の中ではスポーツや格闘技の動きは本物だと思います!

Q.当時の自分へのメッセージ。

想像してるよりいい人生になってるぞ。

本場イタリアでプロデビュー
クラシコ業界の若きストライカー

新井慶太/コロネットマーケティング部広報室 兼 新規事業開発室

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

3歳からサッカーをはじめ、好きが高じてイタリアへ留学。フィレンツェでプロサッカー選手として活動。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

文化や宗教、言語、感性など生活習慣が異なる中で生活し、もがき続けながら必死になって体感できたことは、今の僕の人格形成に大いに役立っています。日本にいたら体験できないことがとても多く、どんな状況でも諦めない心や、人を心の底から信じることを学びました。また、さまざまなあり得ない体験を経験することで、大抵のことは笑って受け流せるようになりました(笑)。

Q.引退理由。

当時のイタリア政府の規制で、ビザが更新できずに帰国を余儀なくされました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

相手あってのスポーツですので、チームスポーツを通じて共に歩むこと、他人を思いやることを学びました。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

サッカーで鍛えた甲斐もあってか、ジャケットやスーツが似合う体型に(笑)。ヨーロッパではサッカーが好きが多く、老若男女問わずサッカーの話で盛り上がれます。

Q.当時の自分へのメッセージ。

今思うと最後まで自分の可能性を信じたように、相手を信じることで世界が変わるということを伝えたいです。

五輪メダリストと競った
競泳ジュニアオリンピック代表

藤田崚司/ノーウェアPR

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

ジュニアオリンピック出場

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

とにかく週5で練習だったので小学生なのに遊ぶ時間が全くなく辛かった。単純に練習もきつかったのでベストタイムが出たとき以外は全て辛かった思い出しかない。ジュニアオリンピックの大会にダントツで早い選手がいたのだが、それが後の五輪メダリスト、萩野公介だった。

Q.引退理由。

中学受験のため。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

苦楽を共にするので、20年以上たった今でも付き合っている友達がいる。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

現場仕事など体を動かすことが多いので、体力面でかなり有利。

新しい挑戦も華麗にレシーブ
ファッション界のアタックNo.1

佐々木樹/「フリークス ストア」東京ソラマチ店

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

小学2年生から大学4年間バレーボルをしていました。春高3年間出場(最高ベスト16)、体育大学でチームとして全国2位、大学院とコーチ業を兼任。

Q.当時のエピソードを教えてください。

毎年秋リーグ直前の伊豆合宿で行う山ラントレーニング。きついトレーニングの中、仲間で声を掛け合って頂上まで登りきり、達成したときの喜びはとてもいい思い出です。

Q.引退理由。

そろそろバレーボールだけではなく、やりたいことにチャレンジしたいと思ったため。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

挨拶、人脈、メンタルが強くなった。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

挨拶、集団行動、声出し。

Q.当時の自分へのメッセージ

もっと何事にもチャレンジ精神全開で行動しよ!若いうちにやれることはたくさんある!なんとでもなる!

強靭なメンタルで時代を生き抜く
ラケットを筆に持ち替えた編集者

小池裕貴/編集者

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

ソフトテニス。全国中学校ソフトテニス大会団体戦優勝。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

練習はどれも過酷だったが特に覚えているのは、腹筋を鍛えるために自分が仰向けの状態になり、その腹の上で友人が足踏みするという鬼のようなトレーニング。全国レベルの大会だとほとんどがジュニア上がりのため、技術だけでは勝てなくなる。そのため、とにかくメンタルを鍛えさせられた。中国大会の前日、鳥取駅の前で「ヨッシャー!」とガッツポーズをしながら走り回るという修行があった。サラリーマンたちにバカにされ恥ずかしい思いをしたが、そのお陰か翌日みんな吹っ切れて、最高のコンディションで戦えた。

Q.引退理由。

マイナースポーツのため、監督からは元々「テニスでは食えない」と言われ、毎日の練習の中に勉強が組み込まれていた。そのため、全国大会を終えて躊躇なく引退した。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

強靭なメンタル、一生の友達

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

上下関係、コミュニケーション、少々のことではブラックと思わないガッツ。

Q.当時の自分へのメッセージ。

現役時代は絶対に太らないと思っているけど、運動しないとちゃんと太るよ。あと優勝したからって調子に乗るなよ。

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