PROFILE: 青木友宏さん/「ロイヤルフラッシュ」代官山店
どことなく近寄りがたい雰囲気を持つ「ロイヤルフラッシュ(ROYAL FLASH)」代官山店の青木友宏さん。しかし話し始めると気さくで、ファッションに対する愛情の強さを感じる。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月6日号から抜粋・加筆しています)
「個性が強くて怖そうなイメージを崩すために、お客さまに声を掛けるときは『こんにちは』といっています」
その後の会話でも、手に取ったものに対して「サイズありますよ」とか「試着できます」とは言わない。それではお客さまは「わかりました」と答えるだけで会話が終了してしまう。できるだけ会話が続くような声掛けを念頭にする。
「点で終わる接客ではなく、線や面になる接客を心がけています。その場だけで完結せず、『あいつのおススメ良かったな』と思い出して、また来店してくれるような提案を考えています」。そんな接客をどう身につけたのか尋ねると、「大阪のお客さまに鍛えられました」と答えた。
転機になった大阪店への異動
学生時代から上野商会でバイトをしていた青木さんは、その経験を生かしたいと最初に配属された神宮前店時代に「バイヤーをやりたい」と手をあげた。だが2シーズンで外され、悔しい思いをした。そんなとき上司から「大阪店へ行ってみないか」と言われた。
「当時は接客していてもお客さまに響いていないなと感じていましたし、バイヤーとしていい結果が出せずにいましたが、そのときは『大阪店に行けば、何とかなるだろう』とタカを括っていたんです」
ところが大阪店勤務が始まると、経験は全く役に立たない。客から「何かないの?」と聞かれても、気にいってもらえる提案ができず「面白くないなぁ」と言われてしまう。また客のサイズ感が分からず、合わないサイズを持っていき怒られたこともあった。
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