マッシュホールディングスの2023年8月期連結業績は、売上高が前期比11%増の1134億円だった。主力のファッション事業が2ケタ伸長し、全体の業績をけん引。期初計画の1100億円を上回って着地した。営業利益については、同社の株式の過半を保有する米投資会社ベインキャピタルの方針により非開示だが、98億円の黒字だった前期からは「増益」(近藤広幸社長)という。
ファッション事業の売上高は、前期比12%増の892億円。ブランド別では、売上高トップの「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」が同6%増となり300億円を突破した。「スナイデル(SNIDEL)」は同3%増と伸長幅は小さかったものの、20年8月期と比較すれば42%増。「一つ一つの店舗の販売力は非常に高く売上高も高水準。今後は海外に成長の軸足を置いていきたい」とする。
近年やや苦戦していた「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」の売上高は22%増と大きく伸長し、100億円を超えた。円安や原料高騰により、業界全体で商品価格が上昇傾向にある中、「(低価格・高品質を意味する)“ロープライス・ラグジュアリー”のブランドコンセプトに立ち返り、お客さまの目線に立ってデザインとクオリティーを見直したことが支持につながっている」と手ごたえを話す。「リリー ブラウン(LILY BROWN)」も、21年秋以降のリブランディング効果で新客獲得が進み、売上高は22%増の54億円だった。
「コスメキッチン」は
店頭の品ぞろえとVMDを改良
テコ入れを進めるビューティ事業は前期比6%増。成果が見られたのは同39%増の「スナイデルビューティ(SNIDEL BEAUTY)」と同10%増の「ビープル(BIOPLE)」。一方、横ばいに終わった主力の「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」については、店頭の品ぞろえとVMDの見直しにより立て直しを図る。「たくさんの商品を詰め込んだ空間はワクワクするような面白さがある反面、商品の選びづらさや一点一点の魅力を伝えきれないことにもつながっていた」と近藤社長。「商品量の適正化や店頭POPの工夫などにより、商品一点一点の魅力が伝わる店作りを進めていきたい」。
24年8月期計画は、売上高が前期比8%増の1230億円を見込む。内訳は国内事業が同7%増の1094億円、海外が同25%増の136億円。海外への本格進出を見据えたベインキャピタルとのシナジーについては、「着々と(海外展開の)準備は進んでいる」と近藤社長。まずは「スナイデル」「ジェラート ピケ」で中国での店舗拡大を本格化させる。