ブームがいったん落ち着いたものの、復活したインバウンド需要にも支えられ、2023年も古着が売れた。中でも何が動いたのか?ここでは、同名のショップを運営するデザートスノーとウィゴー、「古着屋ジャム」のJAM TRADING、「古着屋3ピース」の3 PEACE、「スピンズ」や「森」を手掛けるヒューマンフォーラムの5社に聞き取りを実施した。一次流通ともリンクする納得の回答から、“えっ、そうなの?”と驚くものまで、ヒット商品をご覧いただきたい。
大ヒット
「カーハート」
コーデュロイ製の襟がワンポイントの“デトロイトジャケット”と、フード付きの“アクティブジャケット”が2強。特に“デトロイトジャケット”はジョニー・デップ(Johnny Depp)がモスグリーンを、マルチクリエイターの野村訓市がグレーを着たことでそれぞれ高騰。定番のブラウンも供給が追い付かず、「5年前に比べて、どのモデルも価格が倍になっている」(JAM TRADING)。そのため「若年層にはスエット製のジップパーカも受け入れられた」(ウィゴー)、「ダック地であればノーブランドでも売れた」(デザートスノー)という意見も。
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ブラックデニム
ブランドでは「リーバイス(LEVI'S)」が不動の1位。トップスは流通数が少なく、価格が高止まり。そこでヒューマンフォーラムは、「ノーブランドのインディゴブルーのデニムジャケットを黒でオーバーダイ。6589円で販売し、よく売れた」という。パンツについてはJAM TRADINGが、「『ラングラー(WRANGLER)』の兄弟ブランド『ラスラー(RUSTLER)』が割安(4950円、『リーバイス』だと最低でも7920円)で好評」と回答。またデザートスノーは、「新品中心のコーディネートでも、“ブラックジーンズは古着で押さえておきたい”という需要を感じる」と話す。
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中ヒット
総柄ニット
オーストラリアのニットブランド「クージー(COOGI)」が人気だが、こちらも価格が上昇(2万〜3万円台)。ブランドにこだわらずニュアンスを楽しみたいという若年層を中心に、ノーブランドもの(3000〜6000円)も動いた。ウィゴーは新品(4399円)も提案、「高校生、大学生の購入が多かった」という。ヒューマンフォーラムは、「『チャンピオン(CHAMPION)』の“リバースウィーブ”を旗印に4年ほど前から一大スエットブームが起きたが、総柄ニットに置き換わった印象」と分析し、JAM TRADINGも「アフターコロナが定着し、家着感のあるスエットから、より外着ライクなニットに需要が変容した」と述べる。
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小ヒット
サッカー関連アイテム
ピステ(練習時の防寒着)やユニホーム、スタジアムマフラーなどが該当。デザートスノーは「1900円で出しているピステが人気。オーバーサイズを選択し、インにパーカ。パンツは太めのカーゴというスタイリングが男女共に見られる」と話し、ヒューマンフォーラムは「ユニホームから火が付いて、今はマフラーが売れている。シンプルコーデの“外し”として受け入れられている」と言う。
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アニメTシャツ
2〜3年ほど前から店頭で、「ドラゴンボール」や「美少女戦士セーラームーン」のプリントTシャツを見るようになった。当時はこれも“外し”だったのだろうが、「今やそれが定番化している」(デザートスノー)。人気もウィゴーでは「『天地無用!』や『なるたる』など1990年代から2000年代の作品にシフトしている」と言い、「それら海外でも放映されていた作品の商品を逆輸入している。デザインや作りが凝っているからだ」と続けた。
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まとめ
Tシャツのトレンドはバンド物がぶっちぎりで、「ハーレーダビッドソン(HARLEY DAVIDSON)」がそれに続く形だ。いずれも武骨なイメージだが、対抗として(真逆のポジショニングとも思える)アニメTシャツが台頭しているのは面白い。やはり、何事にも“揺り戻し”が存在する。
サイズについても同様で、JAM TRADINGが「XLからMへ兆しを感じる」と話すように、つい最近までスエットなどは“大きければ大きいほど売れた”が、当然着心地は悪く、リアル(等身大)に戻りつつあるようだ。