毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年12月4日号からの抜粋です)
五十君:コロナ禍で海外に行けなくなった代わりに、北海道ニセコのヴィラなどに出掛けた業界人のSNS投稿をよく見かけました。久々にスキーをしたら楽しくてハマったという声や、日本の雪に触れたいという東南アジアからの富裕層の動きも聞いたので、スノースポーツが再び熱いのではないかと特集を企画しました。
村上:「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が今冬、初めてニセコにポップアップを出しますよね。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「ディオール(DIOR)」「グッチ(GUCCI)」もスキーコレクションをまとめて発信していますし、スノー関連で高感度層のマーケットが日本にも育ちつつあるのかもしれません。でも、登山とは違い、雪用の服はタウンユースができなさそう。
五十君:ガチで雪山に登るための服は難しいですが、今回スナップした方の中に、「パレス スケートボード(PALACE SKATEBOARD)」のシェルでゲレンデを滑っている人がいましたよ。特集にあたり80〜90年代の「ポパイ」スキー特集を見たら、ジーパンにニットのスタイルを推していました。快適さは大事ですが、固定観念に縛られ過ぎる必要もないのかも。スキー用、街着用といった区分をし過ぎず、ライフスタイル提案を強化している「ゴールドウイン」も好調です。
村上:ゴルフのように自由になっていくかもしれませんね。五十君さんがスキー板を何枚も持っているように、雪山好きはコレクター気質もありそうですね。
滑るだけが雪山の魅力じゃない
五十君:そうなんです。日本のスキー人口は右肩下がりですが、「ゴールドウイン」だけでなく、ここ数年「バートン」も「サロモン」も堅調。特に板などは特定の人に猛烈に愛してもらい、その人に何枚も買ってもらう戦略が成り立っています。スキーを1度もやったことがない人が登山の延長でバックカントリーを始めるなど、山ブームからの派生もあります。また、今の10代半ばは、親がスノボ世代。親の影響で始めている子も少なくないようで、アプローチによっては若い層が盛り上がるかもしれません。星野リゾートで聞いた「滑るだけが価値ではない。スノーハイクや湖での釣りなど、雪山はライフスタイルとしてのコンテンツが豊富だ」という考えに、狭い視野で見てはいけないと反省しました。雪山を楽しみ、そこから生まれるコミュニティーはもっといろいろありそうです。今回カバーしきれなかったので、来年も雪山特集をやろうと思います!